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2013.6.17
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高尾山ハイキング用弁当の設計…

たまたま時間が空いて、思い立ったら出発というのが、高尾山ハイキングのよいところ。京王線高尾山口駅から、沢沿いに登り、頂上は込み合っているだろうから避けて、もみじ平で昼食。さらに、一丁平→弁天橋→相模湖公園→JR相模湖駅という短時間コースである。

お昼は茶店で瓶ビールだけ注文し、持参した弁当をつまみにして、丹沢の山々や富士山を眺めながら、ゆったりと寛ぐことにしている。いくら遅い出発でも、12時を越えて到着することは無いし、平日しか行かないので込み合うことは滅多にない。

それでも、お客さんはチラホラとやってくる。女性グループの場合は、互いに嗜好をこらしたご馳走をこしらえてくるようだ。ナメコ汁だけ注文というのが定番のようだが、落ち着いてからビールを飲んでいる輩がいるということで、それじゃ私達もということになったり。
どうも、オジサンはコンビニ弁当かお握りが多いようで、なんとも味気ない感じ。いい加減でも、自作の方が格段に美味しいと思うのだが、面倒なのだろうか。
たいした手間でもないから、やってみればよいと思うのだが。

 【弁当箱】
先ずは容器である。立派で美麗な入れ物は避けた方がよかろう。運びにくいからである。薄いプラスチックの密封容器が軽くてコンパクトで機能的に最高。できれば立方体がよい。ここに、ご飯とおかずを一緒に入れるので、それに適した容量のもの。
味もそっけもない保存容器なので情けないと感じるかも知れぬが、その程度は我慢。
この半分以下の容量の密封プラスチック容器も2つ欲しい。酢の物用と果物用だ。
さらに、比較的美しいプラスチック容器。こちらは、ビールのつまみ入れ用である。小生の場合は、ここに、数分流水をかけただけの半解凍の冷凍枝豆と6Pチーズ1ヶを入れる。煎餅あるいは柿の種子袋を別途持っていくこともある。
液漏れは業腹だから、上記の容器すべて、ラップをかけてから蓋を被せる。それをポリエチレンの袋に入れ、蓋が外れないようにギュウギュウにして縛ってしまう。その上でビニール袋に入れる。これなら被害を蒙ることはまず無い。
 【箸】
あと、忘れてならないのが、箸である。割り箸や塗り箸は食べにくいので、先細の竹箸にしている。スプーンを持っていかないから、それこそご飯一粒でもつまめるタイプがベスト。これをキャップになりそうなものに差し込んで持っていく。先が尖っているから危険ということもあるが、差し込み型の箸置きということでもある。

さて、それではレシピだが、どうということはない代物。炊きたてご飯か冷凍があるなら、ちょっと手をかければすぐにできる。技術がどうのこうのという話ではない。作る気があるかどうかという問題。
なんといっても重要なのは、平らな弁当箱ではないから、ご飯に梅干の日の丸弁当型にしない点。そもそも、腐るリスクがあるなら、弁当は持参すべきでない。ともあれ、冷めたご飯を食べることになるから、原則、混ぜご飯。立派なお弁当を作る訳でもないから、難しく考えなければ、どう対応すべきは自明。一応、解説しておこう。
 【混ぜご飯 旨みタイプ】
混ぜご飯とは言葉の綾で、塩分薄めの"ふりかけ"ご飯に近い。
例えば、こういう風にするということ。所要時間1分。
 ・ご飯の底に、焼き海苔を敷く。(代替:味付け海苔)
 ・ご飯をいれ、以下4種類を投入し、軽く混ぜる。
   -超細切り昆布(代替:納豆昆布)
   -干し桜海老か干しアミ蝦
   -薄切り鰹節
   -煎り胡麻
醤油や塩の味が強いものを投入していない点にご注意あれ。ただ、スーパーによっては、細切り塩昆布しか売っていないかも知れぬので、その場合はそれを選ぶ以外に手はない。 (ザーサイ好きだと、それだけで十分となるかも。しかし、塩加減がわからないからよした方がよかろう。梅干やゆかりも量が多すぎると手がおえなくなるのでは。そんなリスクを負ってまで食べたい食材でもなかろう。市販のふりかけ類は多種多様だが、これも塩梅がさっぱりわからないから避けた方が無難。)
上記にジャコをいれていないのは、塩がきついものもあるから。シラスは乾燥していないので、止めた方がよい。
 【混ぜご飯 葉野菜タイプ】
葉物野菜の炒め物か、漬物を刻んだものを混ぜる手もある。煎り胡麻は加えた方が味が引き立つ。数分で完成。尚、非葉物の沢庵/糠みそ漬はお勧めしない。葉物でも酢漬け/浅漬けの類も不適と考える。好き好きとはいえ。
 ・胡麻油を垂らした野沢菜/高菜
 ・大根葉/蕪葉/菜の花/小松菜の油炒め
上記でも十分だが、油揚か生揚げの皮をオーブントースターでカリカリに焼いて細切りにしたものをさらに加えるのも悪くない。一手間増えるが。
 【混ぜご飯 煮物タイプ】
乾物の煮物が残っている時は、それを混ぜる手もある。この手のおかずに目が無い和食党なら、別途持っていくのではなく、ご飯に直接混ぜてしまうのは悪くない選択である。ただ、高野豆腐やおからは、試す気がしないが。
 ・ヒジキ煮物
 ・切干大根煮物
乾物は戻すのに時間を要するから、その場で作る気はしないが、浅蜊剥き身の水煮缶か蒸葱があるなら、深川丼的な混ぜご飯はすぐにできる。
 ・浅蜊と葱の煮物
 【混ぜご飯 モドキタイプ】
もちろん、本格的に見えるモドキものもありだ。ご飯に混ぜるだけで完成するレトルトモノや自家製モノを使うだけのこと。ただ、昨日の残り物だと「又、同じものか」感が出てしまい、魅力度は今一歩かも。まあ極薄の玉子焼きを作って、錦糸玉子風にして上にのせる程度の労力はかけたいもの。卵1個をよく溶きほぐし、水か牛乳で少し薄くしたら、油をひいて熱したフライパンにさっと広げればすぐに固まり始めるから、火を止めて蓋をしておけばよいだけ。
 ・散らし寿司
 ・筍ご飯
 【非和風ご飯料理】
すこしは料理らしくしたいというなら、多少時間はかかるが以下も結構いける。といっても火を通すのに5分とかからない、いい加減な料理である。なにせ、一人分の分量を作るだけなのだから。
 ・ちゃちゃっと作るピラフ(高菜でもよい訳で、中身は適当)
 ・チキンライスモドキ(ケチャップ利用)
 ・瓶詰め「素」を混ぜて炒めるだけのドライカレー
これらは、すべて冷えてから食べることになる。市販のチャーハンの素的な製品は暖かい出来立てを想定していそう。ハズレだとたまらぬから試したことは無い。一般に、トマト味系の場合は冷えても結構いける。モドキでなく、生トマトで作るとチキンライスは冷えても美味。豚肉エキスの旨みがメインな料理は、脂がかなり入ってしまうので、この部分が冷えて固まってしまうと不味くなりかねないのでご注意あれ。
 【丼モノご飯】
混ぜご飯ものではないが、類似ということで、「丼」にする手もある。
丼というとイメージが違いすぎるが、お弁当の定番である。
 ・ソボロ系。(作り置きの冷蔵か冷蔵品での対応がよかろう。)
平型弁当箱ではないから、ソボロの上にお数が乗る点をわすれずに。エスニックではあるが、目玉焼き等をのせた、ガバオのようなものを食べることになる。それが気にくわぬ人は避けるべし。
鰻丼、天丼、カツ丼もあり得るが、熱いご飯にタレでなく、タレがまばらに滲み込んだご飯の上にベトつく衣というのはお勧めではない。タレ不要の固まった形状で、鰻玉、煮た天麩羅やカツ/フライ類を、混ぜご飯の上にのせることにした方がよい。

さて、ご飯ができたら、お数。蛋白質系の「主」と野菜系「副」の2つに分類して考えよう。それぞれ1品という意味ではなく、何品あろうがかまわない。ただ、すべてをご飯の上に乗せるので、混ざり合うと具合が悪いものは駄目。

 【主菜: 肉/魚/卵/大豆製品】
あるものならなんでもよいのである。と言うか、冷蔵、冷凍保存してあるものから使えそうなのを選ぶだけ。
例えば、カジキの切り身冷凍品なら、電子レンジ解凍後、ハーブソルトをふってフライパンでバター焼き、ついでに、その横で塩を振った薄切り木綿豆腐を焼いて粉チーズを振ってという調子。カジキは火を止めてから少し蒸す必要はあるが、すぐにできあがる。尚、この場合、豆腐よりは、生揚げの皮を切った残りの方がお勧め。おわかりだと思うが、完成品からできる限り水分が出ないものにしているということ。従って、揚げ物類が残っているなら、固めな卵とじにする手もお勧め。何もなかったら、塩胡椒の目玉焼きでもよいのである。
ともあれ、こうしたお数をご飯の上にのせるだけ。
 【副菜: 野菜/茸】
上記の蛋白質系のおかずに合うように適当に野菜や茸を調理して加えるだけ。上記の蛋白質系主菜に手をかけている間に、塩をふった野菜や茸をオーブントースターで焼くと時間がセーブできる。(不注意で焦がすことなどありえまい。)素材としては、人参/牛蒡/南瓜/ズッキーニ/エリンギ辺りが無難。当たり前だが、一緒に熱を通すから、薄厚を材料毎に変える必要があるが、いい加減でもどうということもない。もちろん、主菜調理と一緒でもよい訳だし、その後にフライパンを湯でさっと洗って、オリーブオイル焼という手もある。電子レンジ蒸しもありだが、これだとディップが欲しくなるので、別途小さなプラスチック容器に入れるという手間が加わる。味噌好きなら、微量のケチャップと混ぜて、一緒に入れる手はある。これなら、弁当のなかに広がったりしないから。
そんなものより生が好きというなら、生ラディシュ、生人参、生キャベツ、生セロリで一向にかまわない。
もちろん野菜炒めもよいのだが、ご飯の上に乗せるので、スープの「湯」で味付けする場合、この液体部分を弁当箱に入れないような配慮が必要となる。液がご飯に染み込んで結構という人は別だが。水分をよく飛ばす必要があるので、多少面倒である。
 【主菜と副菜以外】
「ご飯+主菜+副菜」をそれこそ立方体のような容器に詰めるので、さらに細々したものを加えないこと。平らな弁当箱だと、空いていそうなスペースにこれでもかと様々なものを詰め込みがち。それに、弁当だと、漬物の類を入れる習慣があるお宅も少なくないが、味が移ってしまうので、不味くなりかねないので避けるべし。

 【酢のもの】
容器に下記のものから、適当にピックアップして、箸でよく混ぜて味を見る。そこに野菜類を入れてかき混ぜるだけ。できれば、細切りが望ましい。生でもよいが、量が多くとれるし味も滲み易いから、茹でたり、電子レンジで蒸す方がよいだろう。コンソメや中華湯味にしたいなら、炒めるのも悪くない。
 ・油:冷絞りエクストラバージンオリル、冷絞り胡麻油、ラー油(辺銀)
  (気に入っている良質なものにしたい。)
 ・酢:醸造米酢、バルサミコ
 ・香辛料:練り山葵、練り芥子、練り柚子山椒、粒マスタード、荒引き胡椒
 ・発酵調味料:醤油、ナンプラー、塩麹、等々
 ・塩、出汁
これが美味しくないとがっかりするから、味つけには神経を使うこと。ハーブ類を入れると美味しくなるのは当たり前だが、その前に味である。自分の好みを理解することが出発点。難しいことは何もなく、時間がかかる訳でもない。モタモタしているとしたら、自分で決めることができない体質になっているだけのこと。それがわかるだけでも価値がある。

ダラダラと長話になってしまたが、この程度の作業が面倒に感じる人は、弁当などでなく、茶店で蕎麦を注文方がよかろう。


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