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2000.11.27
 
 


日銀金融政策論議を見て…

 2000年10月13日に開催された、日本銀行・金融政策決定会合で中原伸之審議委員は、「『物価の安定』についての考え方」に対して反対を表明した。(http://www.boj.or.jp/seisaku/00/pb/g001013_f.htm)様々な観点からの反対意見だが、驚くような理由が挙がっている。

 報告書は定量的な推計もなく技術革新の影響を強調しすぎているという指摘だ。
 しかも、各政策委員の見通しを作成するために、それぞれの委員にスタッフの増強が必要であり、モデルの概要と推計方法も公表すべき、と主張したと議事録に記載されている。

 これを素直に読めば、中原委員のみが原則論者ということになる。同委員の発言を注視する必要があろう。

 ブルームバーグの報道によれば、同委員は11月22日に、「需要の弱さに由来する潜在的な物価低下圧力は大きく後退」との日銀の見方に反対してきたと発言している。また、「設備投資主導の緩やかな景気回復が持続する可能性が高い」との見方にも、賛成できないと語った。
 2001年に景気が後退局面を迎える可能性も指摘している。---日本のIT投資は広がりが乏しいから、効果がたいして上がらないと見ているのだ。

 もっともな意見である。
 ケータイ・フィーバーで経済が上向くとは思えないし、光ケーブルをさらに敷設しても状況は変わるまい。パソコンを学校に設置しても、1クラス分のパソコンをインターネット接続させるための年間四百万円の通信費用が払えない。景気梃入れのために、高度な施設や設備のIT予算が計画されても、「広がりが乏しい」状況を変える施策でないなら、限定的な効果しか得られまい。


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