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2004.12.22
 
 


構造不況業種問題…

 エコノミストは構造不況4業種の膨大な借金問題ばかり話題にする。

 しかし、過剰借金という点では、固定電話業や電力業も同じだ。
 すでに、両業界とも伸びは期待できないのに、膨大な資産を抱えたままである。しかも、規制が撤廃されれば、安価なサービスが浸透し、販売単価が下がり、売上激減が予想される。代替サービスに対して高コストだから、一挙に収益悪化が進む可能性が高い。

 もしそうなれば、構造不況4業種と同じ状況に陥る。日本経済に与える影響激甚である。
 従って、固定電話業と電力業をどうするかは、日本経済にとって重大事だ。

 ところが、この問題を、誰も表立って議論しない。政治力で衰退を止めようと考えているのだろうか。

 例えば、2003年度の東京電力の中間決算を見ると、すでに深刻な状況と言える。(http://www.tepco.co.jp/corp-affairs/settlement/2002pdf-j/kobetsu.pdf)

 ・・・と主張すると、すぐに反論が来る。株主資本利益率は8.0%で、半期売上が2.4兆円、半期経常利益が2562億円の企業の、どこに問題があるのだ、と語る。現時点で利益が出ていれば、放置しておくつもりの人が多い。

 まずは、現実を直視すべきである。電力売上が順調に伸びる時代は終わった。実際、売上は前年同期比6.7%減だ。
 にもかかわらず、長期債務が重くのしかかっている。このような状況で、代替サービスの登場で売上が減少すれば、過剰設備/過剰債務で構造不況に苦しむことになる。

 数字を見れば明らかである。
 固定負債は9.2兆円。このうち社債が5兆円、長期借入金が2兆円。膨大だ。
 さらに流動負債が2.6兆円ある。このうち1年内に期限到来の負債、短期借入金、コマーシャルペーパーを合わせると2兆円になる。
 これに対して、流動資産は合計で6000億円しかない。

 本格的な規制撤廃が始まり、利益が減少したら対処しかねる状況にある、と見るべきだろう。


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