↑ トップ頁へ

2003.3.25
 
 


日米同盟の絆…

 2003年3月21日付けNewYorkTimesに、大衆受けを狙うエコノミストを痛烈に批判してきた経済学者、Paul Krugmanの「Who Lost the U.S. Budget?」が掲載された。(KrugmanはNYTのコラムニストでもある。 http://www.nytimes.com/2003/03/21/opinion/21KRUG.html)

 発表時期と題名から、イラク戦費膨張という観点からの、ブッシュ政権批判かと思ったら、主題は全く違った。
 財政上の「真の問題は社会保障とメディケアの長期の赤字」であり、「いずれの党も改革する気が無い」のがより根源的な問題だ、との話である。

 内容もさることながら、この論文の底に流れている批判精神に共鳴する人も多いと思う。
 マスコミは、新鮮な題材や、意見が割れるトピックスばかり記事にする。読者の関心を引かなければ商売にならないから、マスコミの姿勢としては当然だが、このことが、問題の本質を隠すことに繋がっている。

 イラク戦費問題など、典型例といえよう。
 フセイン政権の武力的打倒は支持するが、戦費浪費はまかりならぬ、という主張が登場する。これに、そもそも戦争は許せぬ、との純平和論も加わるから、議論は四分五裂状態だ。
 しかも、いくら議論したところで、戦費など見積もれる筈がない。従って、争点は絞れない。そして、一端戦争が始まれば、財政問題は吹き飛ぶ。財政上の理由での戦争中止などあり得ないからだ。

 そもそも、戦争があろうがなかろうが、すでに米国の財政問題は深刻なレベルに達している。クリントン政権下の経済成長で解消しかけた財政赤字が復活したのである。しかも、赤字レベルは尋常ではない。
 この状況で、ブッシュ減税やイラク戦費の負担が加わる。巨大な財政赤字が積みあがることは間違いない。

 一般に、GNP(国民総生産は国民総所得と同じこと)の80%を越えると債務返済は困難、と見なされている。この状況に陥った国家は通常は重債務最貧国(HIPC)と呼ばれている。ところが、米国も重債務国に陥りつつある。
 そして、この状況から抜け出るシナリオは曖昧であり、信用し難い。その上、米国への投資も先細りになってきた。
 ということは、世界通貨としての信用が少しでも低下したら、ドル動揺が始まりかねない。国家の信用低下だから、日本がドルを買い支える程度で、安定化できる保証はない。米国は、今、極めて深刻な問題を抱えているのだ。
 にもかかわらず、政治家は財政問題解決に動こうとはしない。やっかいなので、先送りに徹しているのだ。
 このままなら、米国中心の平和と繁栄の時代は終わる。そして、米国経済頼みの重債務国、日本も一緒に沈むことになる。

 米国と日本は、ビジネス文化も、社会風土も全く違うが、政治だけはそっくりだ。改革による浮上の道でなく、「問題の先送り」で没落の道を選択する。
 政治姿勢でも、日米同盟の絆は固いようだ。


 「政治経済学」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com