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2003.3.31
 
 


崖淵に立つ製造業…

 中古パソコン価格が高止まりしているそうだ。
 といっても、パソコンが初めての人が中古を買い始めたとか、複数機所有する人がパフォーマンスを考えた購入をしているため、中古市場が活性化している訳ではない。新品市場の低迷に合わせ、中古市場も全体としては不調らしい。古い一部の機種が高額化したため、平均価格が高止まりしている模様だ。

 わざわざ、古い機種を高額で購入する顧客とは、中小メーカーの技術関係者だという。利用場面は、生産現場、品質管理、研究開発等と極めて広いらしい。

 この話しを聞くと、「機能さえ発揮できれば、古くても十分価値あり」と考えた積極的購入と勘違いしがちだが、実際は、後ろ向きの目的での購入である。
 使用していたパソコンが壊れたため、代替品を購入しているのだ。本来なら、新型パソコンで代替したいのだが、OSや内部設定が違うため、同じ機種が必要なのである。
 従って、中古品といっても、型番指定注文になる。当然、なかなか良品は見つからない。結果的に、新品とたいして変わらない高額取引になる。

 こうした状況を見ると、中小企業の厳しい現実が見えてくる。システム更新投資がずっと先送りされてきた訳だ。市場に対応機器が全くなくなっても、未だにバージョンアップさえできないのである。

 ということは、生産設備のリニューアルもほとんど進んでいないと思われる。
 償却済みの古い設備でどうやら息をついている状態なのだろう。このままなら、中小企業の生産性低下は避けられまい。時代遅れの設備で復活策があるとも思えないから、多くの企業は衰退一途となろう。

 大企業も設備投資を怠っており、最新設備を所有する海外の新興勢力に、生産性で水をあけられ始めたが、その裾野である中小企業も設備投資を後回しにし続けている。

 統計でも、こうした状況は確認できる。

 2003年度の中小企業設備投資当初計画は、前年度に比べて大きく減少している。
 図は、1995年からの製造業の調査結果を示したものだが、国内設備投資圧縮動向が明瞭だ。(2003年3月発表 商工中金「中小企業設備投資動向調査」)

 中小メーカーが力を失えば、その力を活用して競争力を発揮してきた大企業も衰退せざるを得ない。
 ついに、日本の製造業は、崖淵に立った。


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