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2003.6.25
 
 


信念の経済学…

 「サンフランシスコのNorth Beach Restaurantで$45」のランチメニューを記載して終わる、Financial Timesお馴染みの、週末お楽しみインタビューに、経済学者Milton Friedmanが登場した。(有料記事 2003年6月6日 http://news.ft.com/servlet/ContentServer?pagename=FT.com/StoryFT/FullStory&c=StoryFT&cid=1054416440975&p=1016625900929)

 Friedmanの提唱で通貨供給量目標に沿った経済運営が進んだことは有名である。お蔭でインフレは収まったといえるのかもしれない。しかし、最近は、IMFのエコノミスト達を見ればわかるが、インフレ目標型の運営に流れが変わっている。
 当のご本人は、この流れをどう考えているのか興味があるところだが、あっさりと、通貨供給量目標政策は不成功と認めている。(・・・経済運営は、過去の遺物とされた、金利調整と財政刺激の経済理論に戻るしかないようだ。明らかに、経済理論の行き詰まりである。)

 ユーロについても、Friedmanの予測が外れた。ユーロは失敗どころか、今やドルからマネーが流入する状態である。こちらも、Friedmanは間違いを認めた。
 ところが、ユーロはこの先10年から15年で分裂すると主張。英国の未加入は正しいという。驚くべき強引さだ。(これに関しては、福岡大Ali M. El-Agraa氏の意見が2003年6月21日の「LETTERS TO THE EDITOR」に掲載されている。)

 同様に、小さな政府政策についても、まだ通用すると考えている。減税で政府の収入を減らせば、小さな政府にならざるを得まい、との従来からの主張を続けた。
 しかし、こちらの政策も、結局の所、不成功に終わった、と言わざるを得まい。サッチャーとレーガンの政策で、ソ連崩壊は加速したが、政府に関しては、小さい政府どころか、未だに大きな政府が続いている。

 企業経営についても、自由主義の思想は強固だ。Friedmanの思想から見れば、「ステーク・ホルダー」の考え方など馬鹿げていることになる。企業の目的は利潤1つなのである。社会主義的な施策は必ず失敗する、という訳だ。

 まさにゴチゴチの思想家だ。
 流石に、インタビューワーも驚いたのだろう。ユーロ失敗の主張を聞いて、どうして、それほど確信を持てるのか、と不思議に感じたようだ。

 これに対するFriedmanの答えは単純だった。一度信念を確立したら、その後、一生変わらないというのである。


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