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2003.8.3 |
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Fortune500を読む(2:航空・防衛産業)…
民間航空機ビジネスの不調は予想されていたから、ボーイング、エアバス、ボンバルディアの収益落ち込みは予想通りである。 しかし、米国防衛産業が軍需特需で潤っている割には、まだ影響が見えていないようだ。 また、欧州で進んだ寡占化も、収益性向上に繋がったとは言い難い。 (売上高利益率の12社平均は1%である。) 冷戦後、防衛産業は米欧のブロック化と、寡占化が目立つ。(尚、米欧の産業規模はほぼ2対1。) 米国では、2002年には、NORTHROP GRAMMANがTRWと合併し、大手5社体制が確立している。(BOEING,LOCKIEED MARTTIN,NORTHROP GRAMMAN,RAYTHEON,GENERAL DYNAMICS)軍用機器は、分野毎に独占化が進んでおり、それに伴って技術の寡占化が急速に進んでいる。(但し、先端技術の要になりそうな、戦闘機や宇宙防衛分野では、競合2社体制を維持すると思われる。) 欧州では、共通装備/共通運用のニーズが高まったお蔭で、主要国の軍備共同購入が始まっている。これに対応して、1999年BAE、2000年EADS、2001年THALES創立と3社への統合が進んだ。2002年の収益状況を見ると、BOEINGとLOCKIEED MARTTINの対抗馬といえるEADSは不調に終わった。国防予算削減の影響が強いということだろう。 どう考えても、防衛産業は収益好調の成長分野ではない。すでに2大ブロック化している状態で、日本独自の防衛産業を興す余地などない。 しかも、日本の防衛は、米軍との共同活動体制を大前提としている。日本企業は米国企業と一体化したビジネス展開を進めるしかあるまい。米国企業とタイアップしないで開発を進めれば、全く役に立たない代物を作るだけに終わる。独自軍事技術開発の波及効果を謳う人もいるようだが、見当違いもはなはだしい。 このランクで、注目すべき企業は、SunnyvaleにあるLOCKIEED MARTTINである。ビジネス内容からいえば、ミサイル受注が増えれば、急速に収益が改善される企業である。2002年の売上は対前年比8%増だったが、黒字幅は思ったほど大きくない。 この程度の黒字幅では、シリコンバレー地帯の技術開発活動の刺激にはならないかもしれない。 従来なら、米国の軍事産業の活性化で高度なソフト開発が進み、この先端IT技術が民間に広まっていったわけだが、そのシナリオは成り立たないかもしれない。 (LOCKIEED MARTTINが存在しているお蔭で、シリコンバレーで最先端技術開が行われているとも言える。軍事技術と民間技術の融合の場が提供されているのだ。もっとも、不思議なことに、この地域は米国の反戦活動のメッカと言われている。) 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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