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2003.8.6 |
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Fortune500を読む(5:自動車セクター)…
売上高利益率が2.0%だ。この数字を見ると、それほど魅力ある分野とは言い難い。 しかし、この分野で比較的高い資産利益率を実現している企業もある。 そのような勝ち組の大半は、日本企業である。 もちろん、こうした業績数字は為替で大きく変わる可能性はあるが、GENERAL MOTORSやFORD MOTORが0%、DAIMLERCHRYSLERは2%だから、力量の差はかなり大きいと言えそうだ。 特に、ランクを眺めると、日本企業の変身が急速に進んでいる印象を受ける。 ポイントはモジュール化思想の急進展でなないかと思われる。 日本の自動車メーカーは、1990年代半ばに欧州で勃興したモジュール化には、極めて冷ややかだった。部品組立ラインを、完成車工場から部品サプライヤーの工場に移転する施策、と考えたからである。アセンブルプロセスの労働コスト削減を狙っている、と見なした訳だ。 しかし、技術マネジメントの視点から見れば、モジュール化は自動車全体の技術構造を変えることになる。モジュールに関しての、開発、部品調達、アセンブル、品質管理のすべてを、サプライヤー側に移管するからだ。 自動車産業にとっては、モジュール化は結節点なのである。 日本企業が、このことに気付いたのは、おそらく、2000年頃だろう。欧州で、モジュール化の普及が進んでしまったため、あせったともいえる。 この時、キャッチアップに好都合な環境だったのが日産自動車である。 2001年には、モジュール・サプライヤーの絞り込みを始めている。表層的には、アセンブルの外部化が進んだ訳である。これをきっかけに、モジュール化コンセプトが浸透する。この動きが、同社の資産利用効率向上につながったと見ることもできる。 一方、部品メーカーも、モジュール化で資産効率向上が実現できる。 MAGNA INTERNATIONALの伸張は、その流れにのったもの、と言えよう。同社は、インテリア・モジュールでは相当な強みを発揮できる。従って、この分野では、最大手になる可能性が高い。 というのは、モジュールの性格上、完成車のモデル毎にサプライヤーが異なるのはいかにも無駄である。そうなると、完成車メーカーは、モジュール分野毎にサプライヤーを1社に限定する可能性が高い。 従来のような、数社購買型調達はなくなるから、勝ち組だけが残ることになる。 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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