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2003.8.7 |
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Fortune500を読む(6:小売業界)…「Fortune500」に登場する、流通業は、小売3業種(専門小売、食・薬小売、GMS)、卸3業種(食品/グローサリー卸、ヘルスケア卸、電子部品/オフィス機器卸)、商社の、計7業種である。
まず、小売セクターを眺めてみよう。 表の利益率を見ればわかるが、いずれも、ほぼ順当な収益をあげているといえよう。食品のように、利幅がとりにくい商品では売上高利益率は低くても、回転率が高いから、資産収益率が産業全体を上回る。 業種毎に見てみよう。 専門小売(SPECIALITY RETAILERS)とは、HOME DEPO、GAP、OTTO BERSANO、TOY"R"USといった企業が含まれる業種である。13社がランクインしている。(米10社、英2社、独1社) 食・薬小売(FOOD AND DRUG STORES)にランクインした企業は23社だ。欧州企業は9社(仏CARREFOUR等)、北米企業が10社、日本が2社(ITO-YOKADO、AEON)、オーストラリアが2社。 GMS(GENERAL MERCHANDISERS)にランクインしたのは、米国7社(WAL-MART STORE等)、欧州4社(英MARKS & SPENCER等)、日本1社(DAIEI)、の計12社である。 以上のどこを見ても、日本企業の存在感は薄い。このセクターの39社のうち、日本企業は僅か3社にすぎない。しかもそのうち1社は更正中である。 日本の小売市場の規模を考えると、余りの差に愕然となる。 もちろん、日本でも、GMS(大規模量販)、SM(食品中心スーパーマーケット)、CVS(コンビニエンスストア)、の3業態だけではなく、HC(ホームセンター)、HM(ハイパーマーケット)、DS(デイスカウントストア)、WC(ホールセールクラブ)、WS(ウエアハウスストア)、SC(スーパーセンター)、F/DC(フードドラッグコンボ)等々、様々な業態概念が取り入れられてきた。しかし、すべてが米国小売業の物真似で、小振りな展開しかできなかったのだ。 日本だけが、大規模小売業化が進んでいないのである。規模の経済によるコスト競争力が発揮できないのだ。 昔から知られている、小売業界の問題が、いまもって、解消されていないのである。 ・好立地条件では地価が高すぎる上、十分な店舗スペースの確保は困難。 ・大規模店や新規参入者に対する様々な参入障壁。 ・既存チェーンストアの乱立によるオーバーストア状態。 [尚、地価下落と名目上の政策転換(大規模小売店舗法緩和や大規模小売店舗立地法)はあるが、実質上、多少の緩和、という程度にすぎない。] 要するに、見えない規制や、形を変えた補助金で、オーバーストアを状況が維持されているのだ。にかかわらず、GMSやHM型の巨大外国企業が上陸してくると「黒船到来」と呼ぶ人がいる。常識で考えれば、斬新な経営手法でも見出さない限り、成功は困難だろう。 といって、既存企業の収益が守られる訳でもない。オーバーストアは解消しないのだから、商品を絞り込んで地域シェアを獲得する専門企業が伸び、「なんでも屋」量販は収益低迷が続くことになろう。 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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