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2003.8.9 |
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Fortune500を読む(8:飲料・食品/日用品)…
ビール、洋酒、コーラ、コーヒー、ミネラルウオーター、といった各分野の巨大ブランドを維持・強化するビジネスである。 このような巨大企業が日本に存在しないのは、日本の小売業が細分化されているためと考えた方がよい。
欧米では、大手小売業の寡占化が進んでいる。例えば、欧州ではバイヤーの数は1桁でもほぼ市場をカバーできる。米国でも10バイヤーで市場の5割を越える。間違えてならないのは、この数字は工大な全国市場での値である点だ。地域毎に見れば、寡占化は欧州以上である。多くの地方都市では、極く僅かのバイヤーと取引すれば、当該市場のほとんどをカバーできる。 欧米に限らず、世界各国がこの方向に進んでいると見て間違いない。合併や買収で小売業はさらに巨大化が進んでいるのだ。 こうした動きは、当然のことだ。顧客の数が増えないから、売り場拡張で売上増強を図るしかない。販売効率は落ちていかざるを得ないから、企業の規模拡大に動かざるを得ないのだ。 例外は、日本だけである。寡占化には程遠い状況である。 この巨大な小売業の力に対応するため、メーカーも巨大化に走らざるを得ないのである。 メーカー側も寡占化必至なのだ。 しかし、統合による合理化や、サプライ・チェーン・マネジメントによる高収益化は一過性の効果しか得られない。巨大化の究極的目的は、絞り込んだ領域における競争力向上を活用した、新製品導入による売上増である。 しかし、メーカー側にとって悩みの種は、小売が強大なため、新製品導入に出費が嵩む点である。 どのメーカーも競って新製品を導入するから、棚取り合戦状態なのだ。 (店舗面積が広く店でも、新製品陳列の余地は限られている。しかも、小売業から見れば、ナショナル・ブランドより、収益性が高いプライベート・ブランド商品や生鮮物の販売を伸ばしたい。売上伸張に繋がりそうにない、新製品陳列には不熱心なのは当然である。) そのため、小売側が新製品陳列の決定権を握る。当然、陳列のためには協賛金が要求され、マーケティング費用が嵩むことになる。しかし、費用が嵩んでも、新製品開発に励む以外に伸びる方策はない。メーカーにとっては新製品導入は死活問題なのである。 (但し、協賛金はメーカーのチャネル戦略の協力なツールでもあるから、巨大メーカーにとっては好都合ともいえる。尚、小売が強大とは言えない日本市場でも同じ状況だ。) 従って、この業界は、斬新な製品を生み出せるかどうかの熾烈な競争時代に突入していくことになろう。 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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