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2003.8.10
 
 


Fortune500を読む(9:食材)…

 「Fortune500」のなかで、米国企業だけが登場する特殊な産業がある。FOOD PRODUCTIONだ。農畜産物を原料とした食材生産企業だが、僅か3社の売上高合計が609億ドルと比較的大きな産業である。

 収益性は結構堅調で、売上高利益は2%、資産利益率3〜4%を実現している。

 ランクインしたのはARCHER DANIELS MIDLAND(ADM)[穀物加工等]、TYSON FOODS[肉]、BUNGE[大豆/油]である。米国食材メーカーなので、日本人には馴染みが薄いかもしれない。
 (Fortune 2003年7月21日 F-18)
 [尚、穀物商社として有名なCARGILLも、実態はアグロのコングロマリットなので、このような業態を抱えている。]

 米国の農畜産業は基幹産業だ。熾烈なグローバル競争に曝されており、世界のリーダーの地位防衛は政治上でも至上命題といえる。特に、コーンや大豆は生産規模が大きい上、主要飼料でもあるから、戦略分野といえる。従って、食材産業の振興は政治問題でもある。間接的ではあるが、政府支援策を受けることができる産業であるのは間違いない。

 競争力向上のためには、生産性向上を実現する必要があが、米国は、遺伝学とバイオテクノロジーの活用で実現してきたといえる。
 しかし、同時に、飼料加工と育成技術の向上や、コーンや大豆の利用場面拡大技術の開発にも注力している。
 後者では、食材企業の役割が大きい。

 こうした技術展開には、いくつかの流れがある。

 まずは、生産過剰の農産品を原料とした、高付加価値品生産の流れだ。例えば、砂糖代替品(フラクトース)や、調味料(グルタミン酸)、等の生産である。原料コストの優位性を生かしながら、大量生産でリーダーになろうと図っているといえよう。技術の基本は、発酵生産だから、日本が進んでいる分野での挑戦といえる。

 次ぎが、環境問題に応えた植物原料の化学品やプラスチックの生産だ。特に、ポリ乳酸のパッケージは商用レベルに達しており、世界中から注目を浴びている。技術そのものは、化学企業であるが、現実のビジネスは原料調達で優位性がある食材企業が担当することになろう。
 米国政府の政治的な動きで、市場が急に勃興することもあり得る分野である。

 そして、一番インパクトが大きいと思われるのが、「健康食材」への動きである。健康効能の訴求で、消費を増やそうとの試みといえる。トーフやコーンチップなどの消費が増えているから、この流れが強まっていくのは間違いない。
 といっても、農産物の販売量を増やすというより、大豆抽出物をサプリメント化したり、健康型オイルといった高度加工品の市場導入が進むと考えられる。
 日本企業にとっては、健康訴求は得意な領域なのだが、グローバル化が遅れているため、その力が生かされていない。
 後発である米国の食材企業が、この「美味しい」市場を席巻することになるかもしれない。


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