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2003.8.12 |
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Fortune500を読む(11:通信機器)…
昔は、通信機器分野では日本企業も存在感があったが、今やその影は全くない。といってもATMでは、それなりのシェアを持つ企業もあるが、例外的といえよう。 この原因ははっきりしている。日本の基幹通信網がインターネット対応をすぐに進めなかったためである。通信機器メーカーは、高度で高価なISDN交換機ビジネスを続けるしかない、時代に遅れをとったのである。 さらに悪いことに、コンピュータ分野でUNIXへ注力してこなかったことも大きく響いた。コンピュータの通信技術も弱体で、ネットワーク構築技術では最後発になってしまったのである。 又、国内の移動体通信インフラについても、技術的に何のメリットもない、日本独特のデジタル規格が取り入れられた。そのお蔭で、日本の機器メーカーはケータイ国内事業で大いに繁盛した。しかし、世界市場ではチャンスを失うことになった。 要するに、国家的方針に従ったため、日本の通信メーカーは没落を余儀なくさせられたのである。 しかし、そうでなくても、日本メーカーは低迷したかもしれない。 ITバブル崩壊後、ケータイも、ネットワーク機器も、トップ企業は今もって好調だが、それに続く企業は巨大な赤字を抱え込んでいる。 今や、通信機器ビジネスは、安価なモノつくりは前提条件であり、競争力の根源ではない。嵩む開発コスト管理と、その回収体制構築が、鍵を握っている。 従って、機器の大量製造をもっぱら外部に任せ、開発力を磨く企業が高収益をあげる構造になっている。 スリムで迅速なソフト開発体制や、プロトタイプのコピー生産委託の仕組みが、競争力の根源なのである。日本企業が一番不得意なパターンといえよう。 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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