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2003.8.18 |
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Fortune500を読む(17:石油精製)…石油精製産業は超巨大企業のパレードといえる。26社がランクインしているが、トップのEXXON MOBILの売上高は1,825億ドルであり、これに次ぐROYAL DOUTCH SHELLは1,794億ドル、3位がBPで1,787億ドルだ。500社で最大の売上高は小売のWAL-MART STORESの2,465億ドルだが、小売であるから別にすれば、メーカーの実質1位は売上1,868億ドルのGENERAL MOTORSだ。この業界のトップ3社は、ほぼ互角の規模でこの後に続く訳だ。 この巨大さは、ランクインした日本企業と比較するとよくわかる。4社の合計売上を合計しても、763億ドルに過ぎない。規模が1桁違うのである。 しかし、なんといっても驚きは、その収益力といえる。MOBIL、ROYAL DOUTCH SHELLの利益は、それぞれ、115億ドル、94億ドルだ。 この利益額は、世界の5強に入る。他は、金融業CITIGROUPとGENERAL ELECTRICの153億ドルと141億ドル、とタバコ業ALTRIAの111億ドルだ。絶好調のTOYOTAでさえ77億ドルで10位なのである。 (Fortune 2003年7月21日 F-14) こうしたトップ企業は、早くから合理的経営一直線で走ってきた。この業界でのマージン率低下は、かなり昔から予想されていたのだから、当然の動きだ。 しかし、好調企業が並ぶ一方、先進国でも、合理化努力が不充分なため不調に陥っている企業も多い。 特に日本は、設備過剰で精製設備の稼働率が低い上、末端ステーションも過剰なために非合理で熾烈な競争が続いてきた。その上コンビナートの運営もバラバラであり、輸送合理化がようやくできた、という状態である。産業全体で見れば驚くほど無駄な構造なのが知られたのは、1980年代である。近隣設備の集約のように、すぐにできる施策さえ、長らく避け続けてきたのである。 流石に、どうしようもなくなって、ようやく集約が進んだが、近隣設備を集約をしても生産能力過剰施設から脱し得ないという状態である。抜本的な動きが始まっている訳ではない。 こうした動きを見る限り、日本の生産性はとてつもなく低いと考えて間違いあるまい。 肩を並べる水準にあるのは、製油施設の個々のエネルギー効率位だろう。オペレーションもメインテナンスもコストでは相当落ちる。さらに、間接部門も、売上規模の割には大きいし、人件費負担が重い。 普通なら、競争相手に遅れると、より過激な策で迅速なキャッチアップを図るものだが、日本企業の姿勢は全く違う。政府の補助で、できる限り現状維持策を図るつもりだ。従って、さらなる合理化に注力する欧米企業との差は今後も、全く埋まらない、と見てよい。 要するに、日本企業はグローバルなコスト競争に参加するつもりがないのである。
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