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2003.8.26 |
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Fortune500を読む(25:エアライン)…
金融業同様、国益に直接係わる産業と見られているといえよう。 人の流れが重要な時代、強力なエアラインの存在は国家繁栄の基礎といえる。 といっても、不便な空港と、高額な航空運賃を強いる仕組みを是認するのが日本だ。従って、日本のエアライン企業に競争力が生まれる筈がない。 エアライン利用側にとって一番重要なのは、国際便と国内便の便利な連結体制と、低額な運賃といえる。 そのため、世界は数グループに分かれると言われてきた。 実際、予約システムやマイレージサービスでのアライアンスが先兵になって、米欧のリーダーの提携に各国のエアラインが参加する形態でグループ化が進んでいる。 ・AMR + BRITISH AIRWAYS (1998年 ONE WORLD) ・UAL + LUFTHANSA GROUP (1997年 STAR ALLIANCE) ・DELTA AIR LINES + AIR FRANCE GROUP (1999年 SKYTEAM) しかし、この動きばかりに注目しすぎているではないだろうか。 そもそも、1社のみのナショナル・フラッグ体制の国がある限り、閉鎖的なグループ化は独禁法の対象になりかねない。世界のエアラインを集めて巨大化しただけでは、共同運航やマイレージサービス以上のメリットは生まれまい。グループ化は必然だが、エアライングループ相互の戦いとして眺めていると本質を見逃してしまうのではないだろうか。 エアライン事業はインフラ投資が大きいから参入障壁は高いのだが、ドル箱路線やニッチ路線には、低価格訴求の新規参入者が登場する。 従って、一般的には、路線に合わせた集客力と低コストオペレーションが競争力の根源といえる。グループ化で、どのように競争力を高めるかが鍵を握るといえよう。 収益源を考えれば、航空券直販体制の強化にも目を向けるべきだろう。グループ間の戦いより、グループ力を活用した川下での戦いの方が重要だと思われる。 現実には、生産性の観点で、米国と欧州のハブ空港運営体制に優れた企業が強い、と言えそうだ。 例えば、上記3グループ以外に、NWA+KLMのグループがあるが、1989年から一体化の動きを進めている。国内線では弱体なNorthwestだがデトロイト、ミネアポリス、メンフィスの3拠点を持つ。一方、KLMはアムステルダムが拠点だ。何れの拠点もニューヨーク/シカゴ、ロンドン/パリといった、旅客集中空港ではない。当然ながら、優れた連絡便体制で旅客利便性向上を図ることになるし、提携企業のオペレーションを一体化して低コストを追求することになる。 欧米企業の動きは戦略的である。ここには、日本企業の出る幕は無い。 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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