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2003.8.27 |
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Fortune500を読む(26:通信)…
しかし、20世紀末に激変した産業といえよう。 世界的に市場開放と競争促進政策導入が進み、民間企業主導の産業に変貌したのである。国際/国内、固定/移動体、電話(音声)/データ通信/インターネット(マルチメディア)/CATVの境を越えたグローバルな競争が政策的に誘発されたのだ。 クリントン政権のインターネット政策に対応して、欧州が通信民営化と汎欧州ネットワーク政策を打ち出したため、巨大なうねりが生じたといえよう。 英国は、すでにサッチャー政権時代に民営化を進めていたが、1990年代後半に次々と民営化が実現されたのである。 (1995年には独DEUTCH TELECOM、1996年には仏FRANCE TELECOM、1998年には伊TELECOM ITALIA) この動きのなかでは、欧米の巨大キャリアは動かざるを得なかったといえよう。 このため、どの企業も、率先してネットワークへの巨額な設備投資を敢行した。これと同時にグローバル化に向けたM&Aを進めた。 携帯電話分野でも、第3世代の超高額免許取得料も支払った。 ところが、とてつもない巨額な投資にもかかわらず、通信需要は思ったほど膨らまなかったのである。 この結果、業界全体が大苦境に至り、バブルはあっけなく崩壊した。 この業界は、なんといっても巨大な米国市場の動きで全体がきまる。その米国が不調なのであるから、業界全体が低迷せざるを得ない。 といっても、再建スピードは速い。このセクターの売上高利益率中央値は、全業種500社を若干上回った。 要するに、新時代に突入したのである。 ざっと経過を見てみよう。 米国の巨大長距離業者(AT&T、MCI WORLDCOM)は大胆な変身を図ったが、全く機能しなかった。 結局、AT&TはCATV部門(COMCAST)と携帯部門(AT&T WIRELESS SERVICES)を切り離して、単なる長距離業者に戻る。WORLDCOMに至っては2002年7月に史上最大の経営破綻で命運が尽きた。 これに次ぐ長距離業者も軒並み苦しい経営と言ってよいだろう。光ケーブル網を広げすぎて破綻したGLOBAL CROSSINGは典型である。Williams等の新興企業も、軒並み経営危機に遭遇した。 (他の代表的参入企業:Broadwing、Cable & Wireless[英]、Teleglobe[カナダ]) 米国の地域型通信業者(東部のVERIZON、南西部/太平洋岸のSBC、西部のQUEST、南部のBELLSOUTH)は地盤があるから強固ともいえるが、QUESTのように卸で手を広げすぎた企業は不調に陥ったといえよう。 米AT&Tと英BTの「最強」国際連合も解消され、今や中核事業に絞って収益確保に走るしかないのが実情といえそうだ。 (BTもAT&T同様に携帯は切り離した。) 日本でも、NTTは巨大な赤字を計上したし、KDDIが過剰債務に直面したが、米国企業と比較すれば、バブル破裂の影響は軽微だった。 これは、NTTが実質鎖国政策をとったため、ともいえよう。 (NTT海外展開:香港Hutchison Telephone、台湾KG Telecom、蘭PKN Mobile、英Hutchison 3G UK Holdings、米Verio、AT&T WIRELESS SERVICES) 今では、日本における外資企業は軒並み撤退か事業縮小に移行中で、存在感は薄い。例外は、ランクアウトしたJAPAN TELECOM程度だ。 (AT&T+BT連合解消で携帯の雄VODAFONE傘下に転化した、と見ることもできる。) 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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