↑ トップ頁へ

2003.9.1
 
 


Fortune500を読む(31:材料加工ビジネス)…

 「Fortune 500」の業種分類の最後、MISCELLANEOUSに3Mが登場する。
 (出典:Fortune 2003年7月21日 F-22)

 3Mは強いて分類すれば、広義の化学産業になるのだろうが、原材料が化学品というだけに過ぎない。高度な加工により高機能を発揮させる製品が多いから、一般の材料加工業とは相当異なる。
 接着/粘着技術をベースに、顧客の問題解決型の画期的製品を生み出す事業モデルなのだ。
 そのため、対象分野は多岐に渡る。業種分類は難しい。

 多岐に渡る展開とは、下手をすれば、小企業の集まりになりかねない。
 固有技術の蓄積と、幅広い知識を活かせるマネジメントスキルがなければ、この事業モデルを単純に真似しても成功はおぼつかない。
 しかし、上手く運営すれば、高収益を実現できる。
 3Mは売上高では316位だが、利益率は12%で46位、資産利益率は13%で16位なのである。

 もっとも、この企業と同じように、接着技術を核に事業展開をしている企業もあるから、この技術は、こうした事業モデルに適合し易いと言えるかもしれない。
 独のBIERSDORF(化粧品/ペーソナルケア+医療用品+「tesa」接着技術製品の3本柱。ニベアブランドは買収ターゲットになりやすい。)、日本の日東電工(電材/エレクトロニクスが中核だが多角化している。)だ。

 顧客ニーズに応えた高度加工品への展開という点では、MISCELLANEOUS分類には、もう1社材料系企業が並んでいる。仏のPECHINEYである。
 (但し、同じアルミニウム素材メーカーのカナダのALCANは「金属産業」に、鉄鋼メーカーと一緒に分類されている。売上高利益率2%だから、PECHINEYのアルミ素材事業を吸収したいと思われる。)
 名前を聞くと、アルミニウム電解精錬技術のリーダーで、素材メーカーという印象が強い。しかし、パッケージングや高機能品などの高度加工/高度技術品ビジネスへ傾倒し始めている。

 といっても、少額とはいえ赤字である。大型素材企業の高収益型ビジネスへの転換が簡単ではないことがわかる。
 しかし、このことは、グローバルで見れば小さな素材メーカーにすぎない日本企業の方が変身し易いと言えるかもしれない。
 歴史ある自社の素材事業へのこだわりを捨て、自社技術の強みを活かした的確な技術マネジメントさえできれば、3M型の展開で、高収益な大企業に変身できる可能性がありそうだ。


 「政治経済学」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com