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2003.9.2 |
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Fortune500を読む(32:保険)…
Fortuneの金融関連分野は表に示すように7つに分かれている。銀行以外は、証券、生保、損保、多角化金融(GEのような業態)である。 証券は企業数が少なく、日本企業はランクインしていない。 保険業の企業は、銀行同様、数が多い。日本企業は生保に8社、損保に3社がランクインした。 メーカーや流通と違って、金融業は実態がわかりづらいので、日本の生保の経営実態をS&Pの格付けで見てみよう。 ランクインした日本の生保8社のうち、STANDARD & POOR'S格付け(2003年6月27日)で、AAA/AA/Aとの評価を受けたのは僅か3社に過ぎない。日本の生保は二極化してしまったことがわかる。 (BBB+が2社、BB+が1社、B+が1社、CCC-が1社で、3社は資産の毀損が特に激しいと言えよう。) [格付けBB以下は、「強みを上回る不安定要因を有する可能性がある」とされる。] ランクインしているING GROUP[蘭]、AXA[仏]、PRUDENTIAL FINANCIAL[米]、MANULIFE FINANCIAL[加]、AFLAC[米]といった進出企業の体力とは相当の開きがある。
生保の負け組みが復活する道は閉ざされているように思える。 一方、日本の損保企業は自己資本水準が高いと言われているから、大手損保には生保が抱えるような問題はない。 しかし、日本の損保は株式問題を抱えている。総資産の3割近くを株式で保有してきたのだ。株式保有が保険契約獲得になるからだ。この、旧態依然たる「営業」文化から抜け出せるか、が問われている。 自由化は始まったし、国際化も進む。この先は、競争激化一途である。 ミレア、損保ジャパン、三井住友海上、あいおい、日本興亜、ニッセイ同和の6大損保体制ができたのも、戦略的動きというより、他に選択の余地がなかったとも言える。 結局のところ、FORTUNEのランクで見れば、ニッセイグループ、ミレア保険グループ、第一生命・損保ジャパングループ、三井住友グループがグローバル競争を繰り広げることになるのだろう。 いづれも、規模では、世界の強豪と並ぶことができるが、競争力は未知数である。 欧米では、専門分野で徹底的に力を磨いて、世界に通用する競争力を備えてから、相互合併に進む。 ところが、日本企業は何が切り札かさっぱりわからない。同じような運営体制の企業ばかりだから、集まったところで強みが発揮できる保証などない。 これから、いよいよ本格的に欧米の保険グループとの市場争奪と、規模による運用収益力の時代が始まる。 はたして、日本企業は競争力向上を実現できるだろうか。 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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