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2003.10.13 |
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冒険主義的為替政策…政府数字によれば、2003年8月28日から9月26日までの1カ月間の為替介入総額が4兆4,573億円だという。これで、今年の累計額は13兆4,828億円に達した。(http://www.mof.go.jp/feio/monthly/150930.htm) 2002年末時点の、日本の対外純資産は175兆3,080億円であるから、驚異的な金額だ。 イラク問題との政治的取引で、なんとか円高阻止を続けてきたようだが、ここまで介入しても、ドル安圧力は消えない。アジアへの投資がブーム化しており、抑えがきかないのだ。 そして、米国政府がドル安へと方針転換した。 G7でも、米国は、新たな通貨レジーム (「Flexibility」)で成長の再分配を目指す方向を打ち出しており、おそらく日本は孤立したと思われる。 その結果、10月に入り、急に為替が動きはじめた。外為出来高も一気に膨らんだ。ついに、ドルは110円を切ることになった。 そして、17日には、米国大統領が来日する。 すでに、1ドル105円まで、日本企業は耐えられると囁かれており、円高要求がつきつけられることになるのだろう。 米国政府は無謀な賭けにでるようだ。 Morgan StanleyのチーフエコノミストStephen Roachの10月10日付けレポート「The Blame Game」を読めば、危機感を抱かずにはいられまい。 政治が機能を失いつつあるのだ。 (http://www.morganstanley.com/GEFdata/digests/20031010-fri.html#anchor0) 米国は、国内政治問題を、為替で解決することになろう。 無理筋だが、国内政治優先だから、他に手段が無いのである。 The Economistは、2003年9月18日の記事「Flying on one engine」で、世界経済の暗い見通しを指摘していたが、その通りになるかもしれない。 [この記事は、The Economistにしては珍しく、自己主張がほとんど無い。どちらかといえば、読者の判断に委ねるトーンだ。] (http://www.economist.com/surveys/displaystory.cfm?story_id=2050678) 現実は明白だ。1995年から2002年の間で、米国は世界経済の成長で6割弱寄与した。一方、日本は足を引っ張る側で、1割以上も下落させた。明かに、経済の牽引車は米国だけだった。しかし、米国は重荷に耐えられない所まで来たのである。 ここで、アジア通貨の為替レートを変動相場制にすれば、資本移動が不安定化する。中国の脆弱な銀行システムにも綻びが生じる。間違いなく、悲惨な結果を招く。 The Economistは、結局のところ、3つの道しか残っていないと指摘している。 1つ目は、ドル暴落。・・・間違いなく金融市場は大混乱に陥る。 2つ目は、保護主義。・・・WTOは瓦解する。 3つ目は、米国の低成長化。・・・米国依存を脱し、欧州、中国、日本が分担して世界経済を牽引する。 当たり前だが、第3の道以外は恐慌への前奏局だ。 しかし、残念ながら、米国依存からの脱却など、一番あり得そうにない。為替介入でわかるように、少なくとも、日本政府は米国経済依存を止める気は全くない。 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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