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2004.1.26
 
 


IMF v.s. 米国財務省…

 「マハテールがメインストリームから身を引いたが、ワシントンに行ってたのだな。」とのアジア地区での冗談がBloombergのコラムで語られている。
  (http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=10000039&sid=a6KthtLcUm54&refer=columnist_pesek))

 アジア危機の時、IMFはマレーシアに対して財政引締政策を強く迫ったが、当時のMahathir首相が拒否したのは余りに有名である。IMFは米国の手先と言わんばかりの、強い態度で望んだ。そして、米国財務省と、そのお先棒かつぎのヘッジファンドが国富を奪おうと画策しているとの、あからさまな批判をくり返した。1997年〜1998年のことである。
 2004年に、今度は、手先と見なされたIMFが、米国の財政赤字問題に対して警告を発した。ところが、米国政権は、Mahathir政権同様の強い態度で拒否の姿勢で対応したのである。

 アジア諸国にとっては、米国政府のこのような方針は驚きのようだが、米国政府自身から見れば当然のことである。何の心配も無いからだ。
 貿易赤字になっても、アジア諸国の中央銀行が米国債を購入してくれるし、将来的には、この債務をきっちり棒引きしてくれる。
 米国の金融システムが崩れれば世界経済は危機に陥るから、避けるためには、この仕組みに従うしかない訳だ。

 現実に、海外が保有する国債額は文字通り鰻登りである。こうなるとどうにもなるまい。
  (http://www.treas.gov/tic/mfh.txt)

 アジア諸国の中央銀行も何時までもこんなことを続けることはできまい。米国が財政赤字に配慮しなければ、早晩破綻の時が来る。
 ところが、破綻しても、ドル建て債務だから、米国はIMFに救済してもらう必要は無い。従って、もともと、IMFの警告を聞く耳など持ち合わせていないのである。

 IMFが指摘するように、ベビー・ブーマー引退が間近に迫っている時に、減税を行い、財政赤字を増やすのは、どう見ても無理筋である。こんなことを何時までも続けられたら、たまったものではない。
  (http://www.imf.org/external/Pubs/NFT/Op/227/index.htm)

 米国とは不思議な国である。政治家は減税にこだわり続ける。
 後で税収が増えるから良いという、強引な屁理屈で、減税政策を展開するのだ。
 有権者にとって、健康保険や年金の財源を確保するより減税の方が魅力があるのだろう。成熟社会の欧州から見れば、理解に苦しむ選択である。
 このような環境下では、予算の大枠を規定する仕組みを急がないと、どうにもならなくなるのは自明だろう。

 しかし、政治家にとっての優先事項は、当座の選挙で当選することである。

 お蔭で、世界は爆弾を抱えることになりそうだ。

 2004年2月6日のG7が、世界経済の今後の行方を決めることになりそうである。

 そして、IMF v.s. 米国財務省の論議に関しての、日本政府のエコノミストの姿勢がはっきりする。
 こうした論議をできる限り避けるつもりか、IMFの指摘の正当性を支持するのか、米財務省とアジア諸国の中央銀行のもたれあい体制維持を主張するのか?
 まさか、IMFの主張を誤認と見なすことは、無いと思うが。
  (Snapshot-G7: http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=topNews&storyID=4187197)


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