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2004.4.11
 
 


古い欧州は邪魔だ…

 ドイツ連銀総裁が宿泊費用を企業に持たせたということで、一大騒動が持ち上がっている。(1)

 いかにも「古い欧州」らしいスキャンダルである。
 どの国でも、名誉ある地位と、それに伴う役得を狙う人は多いが、欧州は高額な税金と権威主義的な文化が蔓延しているから、地位を生かして実生活向上を図る人が特に多いと言えよう。
 欧州高官にとっては、招待講演といった名目での、タダ切符、タダ飯、タダ宿泊が楽しみなのであり、今回の問題も、彼らにとっては騒ぐようなものではない。

 サッチャーやゴルバチョフが、日本を訪れるだけで金稼ぎができることが知られたため、益々、地位獲得のメリットは益々高まってきた、と語る人もいる位で、総裁の責任が問われたところで、この体質が変わることはなかろう。

 実際、国際機関の猟官運動は凄まじいそうだ。お蔭で、世界の政治はメタメタになる。
 人事が上手く運ばない元凶は、欧州のこうした猟官文化と見てもよいかもしれない。

 良く知られているように、IMF専務理事は欧州、世銀総裁は米国、といった不文律が出来上がっている。
 このような人事は、なんの意味もないだけでなく、組織腐敗のもとである。しかし、変える力は全く働かない。

 なんと言っても圧巻は、IMFのKOHLER専務理事の姿勢である。大統領になれそうだというので、平然と職を投げうったのである。責任感の欠片も感じさせない辞任会見を行った。(2)
 こんな人が、世界を揺るがしかねない機関の代表を務めているのである。
 「古い欧州」にとっては、世界経済などどうなろうと知ったことではないのだ。やる気もないのに、地位だけ獲得する人ばかりだ。いい加減にして欲しい。

 そもそも、欧州通貨は一元化されたのである。にもかかわらず、未だに、欧州各国の「通貨」代表が登場する。通貨の議論なら、欧州ECBの代表だけで十分なのに、これに加えて、わざわざ、英、独、仏、伊の4ヶ国代表が参加するのである。ポンドの英国を一応参加させるのならわかるが、誰が考えても、他の3ヶ国は余計である。
 要するに、地位を増やし、役得狙いの人々を満足させたいのである。

 今のままで、まともな議論ができる筈がない。

 米国が1国主義になる遠因は、こうした欧州の馬鹿げた態度ともいえる。4ヶ国それぞれが、米国と対等な立場で主張するなど、笑止千万である。欧州以外の国は、犠牲的精神で、無駄な時間を費やされるのだ。

 経済論議なら、欧州を外し、ドル圏に属している、米、日、中国、インドの4者会談の方が価値がある。この4者で、政策調整を行った方が世界の経済成長に寄与できるのは歴然としている。
 しかも、アジアの中央銀行が米国財務省証券を買い支えている状態が続いており、ドル圏では、実質的な中央銀行は米国連銀になっている。
 さらに、ロシア、韓国、台湾、シンガポール、インドネシアを加えれば、グローバル経済の牽引車はすべて揃ってしまう。
 今やドル圏の為替システム/経済構造が世界経済の屋台骨なのである。(3)
 そして、この仕組みはBretton Woods System 同様、早晩行き詰まる。従って、ドル圏の主要国が政策論議ができる場を作ることは、極めて重要なのだ。

 この状態で、欧州が議論に参加したところで、何の意味もない。というより、雑音でしかない。

 国際機関の非生産的運営の元凶は、どう見ても「古い欧州」である。

 --- 参照 ---
(1) http://www.welt.de/data/2004/04/08/262521.html
(2) http://www.imf.org/external/np/tr/2004/tr040304.htm
(3) http://www.nber.org/papers/w9971


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