↑ トップ頁へ

2004.4.12
 
 


グローバル化は急進展…

経常利益額(1)
(100億円)
年度 国内法人
全産業
海外現法
非製造業
北米現法
製造業
アジア現法
製造業
欧州現法
製造業
1998 900 97 31 32 13
1999 1,130 101 57 58 17
2000 1,640 144 68 77 8
2001 1,060 112 24 77 1
2002 1,210 133 87 116 16
 2004年3月に「第33回海外事業活動基本調査概要」が公表された。(1)

 2002年度の海外現法の経常利益は3兆7千億円に達したという。もちろん、この調査開始以来最高額である。

 製造業は、北米が1兆5,411億円、アジアが1兆4,511億円、欧州が4,268億円だ。海外活動が大きなウエイトを占めるようになった訳である。
 ここ5年を眺めると、アジアの利益が急成長したことがわかる。
 アジアの内訳は、中国が3,958億円、ASEAN4ヶ国が5,672億円、NIEs3ヶ国が4,052億円である。
 1998年には、それぞれ、455億円、777億円、2,434億円だったから、目覚しい急伸ぶりである。

 国内法人が12兆円を稼いだのに対し、アジアの現法が1兆円を生み出すまでに育ったのは驚異的である。しかも、言うまでもないが、アジア地区現法の方が、国内法人より、売上高経常利益率は高い。
 中国バブルはあるものの、これからは、アジアの経済成長が日本企業を支えることになるのは間違いないように思える。

 海外現法の収益がここまで膨張したのは、グローバル化、なかでも中国進出を優先課題に掲げたからだろう。
 といっても、製造業全法人の海外生産比率は未だに17.1%でしかない。しかし、既海外進出企業で見れば、41.0%に達している。2003年度の予想は、43.3%であると言うから、さらなる深化を狙う企業が多いことがわかる。
 日本企業は海外展開組と、国内土着組に、2分化している訳だ。
海外現法経常利益
(2002年度 製造業業種別)
輸送機器 1兆72億円
化学 5,557億円
情報通信機械 1,900億円
食品 1,700億円
電気機械 1,004億円
一般機械 881億円
精密機械 549億円

 業種別で見ると、さらに特徴が見えてくる。

 海外現法の稼ぎ頭は、当然ながら輸送機械産業だ。1兆円と、全体のほぼ半分を占めている。海外生産比率は着実に高まり続け、47.6%に達しているから、当然の数字である。
 ところが、期待されている情報通信機械と電気機械は思ったほどの収益をあげていない。海外生産比率は26.5%(前年が27.6%)だが、両者合わせて3,000億円程度でしかない。

 一方、化学が5,557億円を越えているし、食品は1,700億円も稼いでいるのだ。
 鉄鋼でさえ、165億円をあげた。
 国際的に見て競争力が優位とは言い難い上、海外展開も遅れているように見える産業セクターだが、現実にはグローバル化の波に乗っているることがわかる。

 ここまで来れば、海外現法での研究開発も常態化した、と見て間違いあるまい。
 実際、研究開発費もそれなりの規模に達している。そして、海外研究開発比率が4%を越えた。
 金額では、全製造業で4,107億円である。そのうち、輸送機器が830億円、情報通信機械/電気機械が1160億円、化学が1340億円、食品が380億円である。

 この数字を伸ばせるかで、日本企業の地位が決まりかねない状勢である。アジア地区が、大量の研究者・エンジニアを輩出する時代だからだ。市場開拓だけでなく、技術開発についても、海外に研究開発拠点構築を進めなければ確実に競争力は削がれていく。
 経常利益が潤沢化した時に、こうした方針を貫徹する企業が、飛躍を約束されることになろう。

 こうした状況を考えると、グローバル化のスピードはさらに加速しそうである。
 と言うことは、今後、海外からの収益急増企業が続々と登場することになろう。

 --- 参照 ---
(1) http://www.meti.go.jp/statistics/downloadfiles/h2c402fj.pdf


 「政治経済学」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com