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2004.4.26 |
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中国バブルの行く末…Bloomberg のアジア担当のコラムニストはWilliam Pesek Jr.氏とAndy Mukherjee 氏だ。Pesek 氏はたびたび日本経済の実情を指摘しているから、目を通す人は多かったが、Mukherjee 氏は、インドに関心がある人以外は余り注目していなかったと思う。 しかし、中国経済がバブル状態になってくると、Mukherjee 氏の冴えた目からのコラムは貴重である。 ・2004年4月13日「China's Spending Fury Points to `Moral Hazard'」(1) ・2004年4月20日「Will Asian Bond Fund Foil Crisis, or Cause It?」(2) 言うまでも無く、米国と中国にはすでに、経済的に密接な繋がりができてしまった。アジアが生産し、米国がアジアからの借金をもとに消費するという、経済原則を無視した、経済運営が続いている訳である。 世界経済は、この両国が牽引しており、この流れに、日本を含めた周辺のアジア諸国がドル圏経済圏を作り上げることで、繁栄を実現していると言える。 (欧州小国ばかり入っているG7が終わったばかりだが、中国が入らない会議など無用である。(3)) 当然ながら、この仕組みを永続させることはできない。 アジア通貨危機は中国と日本の踏ん張りでなんとか、最小限の影響ですんだが、今度のバブルはアジア全域だ。 まさに、「 The continent is booming now, but it still bears the scars of the financial crisis of 1997-98, when skittish bank managers called in their loans and caused bankruptcies across the region -- from South Korea and Hong Kong to Thailand, Indonesia and Malaysia」なのである。 さらに、誰もが気になるのが、中国政府が発表するデータだ。曖昧だから、どこまで信用してよいか、わからない。 ここのところ、中国への過剰な資金流入が進んでおり、インフレ化の可能性は高い。しかし、データからでは、実態ははっきりしない。しかも、政策的に、この爆弾破裂を抑える政策が展開されているのかも明瞭でない。 (もっとも、米国経済はインフレ率の上昇懸念はないらしい。(4)) こうした状況下では、専門家の意見に耳を傾けざるを得ない。 そして、Mukherjee 氏のコラムを読んでいると、どうやら思った以上に早い時期に、ドル圏経済が破綻しそうな気になってくる。 当たり前だが、資本主義経済では、バブルは必ず発生する。バブルが経済を牽引する効果もあるから、悪い訳ではない。重要なのは早目に的確に対処することだ。 上手くいくかは別として、政府が常に監視し、ここぞという時に動くことで、マイナスのインパクトを和らげる訳である。 ところが、Mukherjee 氏によれば、その見方は中国政府には当てはまらない。 銀行に、膨大な不良債権問題があるのはよく知られているが、経済好調なので少しづつ問題を解決していると考えていたが、甘いようだ。 中国では、モラルハザードが広範囲に発生しているという。 しかも、悪いことに、構造的なものである。 先ず、地方政府が、起業と公共投資を企画する。融資元は銀行になる。しかし、事業の実態は赤字。不良債権化必至である。 その結果、銀行も赤字に直面するが、この赤字を政府が補填しているそうだ。 すでに、中国経済バブルのお蔭で、世界はインフレ化してきた。米国は、膨大に積みあがったドル債の価値を下げるから、インフレを容認しているようだ。 しかし、いつまでも、インフレ化を放置できまい。中国政府が投資抑制に舵を切れば、ドル圏経済は一気に不況に突入する。 2004年4月24日の報道で流れた胡錦涛主席の発言を見ても、中国政府は、このことを十分理解している。(5) しかし、コントロールする術が無いようだ。 政府は銀行に対して融資抑制ができない状態らしい。 そうなると、バブルは限界まで膨らむ。ハードランデイングは避けられない訳だ。 と言うことは、長期的に眠りかねない現物投資は避けざるを得まい。破綻の前に、濡れ手に粟のビジネスでできる限りお金を稼ぐしかない。 バブル破裂で貧乏籤を引かされないためには、どうすべきか、熟考が必要だ。 --- 参照 --- (1) http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=10000039&sid=a5.c9TS3HN40&refer=columnist_mukherjee (2) http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=10000177&sid=a14kNNCq79iA&refer=market_insight (3) http://www.forbes.com/home_asia/newswire/2004/04/19/rtr1335884.html (4) http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=reutersEdge&storyID=4926507 (5) http://www.reuters.co.jp/markets_news_article.jhtml?storyID=4927973&marketID=4&ric= 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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