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2004.8.20 |
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遊べる動物園の意義…動物園/植物園/水族館は抜本的な変革が必要なのは明かだと思う。→ 「動植物園/水族館の再考は不可欠」 (2004年2月15日) 古典的客寄せモデルは稀少動物の「展示」だ。上野動物園のジャイアントパンダ、多摩動物園のコアラが人気動物の双璧である。 しかし、テレビで眺めるのとは大違いで、動物園のコアラやパンダは、見ていて面白い動物とは言い難い。大抵は遠いところにいる上、動いていることは稀だ。お蔭で、たいした感激は湧かない。一度見れば十分といった気分になる。 一方、「動く物」なら、何気ないしぐさでも、間近で見ていると、ウキウキしてくる。特に、予想もしなかった行動に出くわした時の驚きは、感動ものである。動物の動きの面白さで、興奮してくる。 この効果が、歴然となったのが、旭山動物園(1)の一大ブームだ。 ここでは、ペンギン、アザラシ、シロクマといったどこにでもいる動物が大スターである。泳ぐ姿が見えるから、動物園というより水族館に近い。動物を狭いところに閉じ込めて、拝見する施設ではなく、楽しげに遊んだり食べている動物と見学者が解け込む環境が用意されているのだ。(2) 動物に活力を与えることで、生き生きした動きが生まれ、その姿にヒトが魅せられたのである。 実際、結果は、驚異的である。 旭川市の郊外という立地にもかかわらず、2003年度の入場者数は82万人で、旭川市の人口の倍を軽く越える。そして、2004年7月、ついに、月間入場者数日本一になった。(3)このペースでいけば、2004年の入場者は100万人になると思われる。首都圏のよこはま動物園を越えるかもしれない。 入園者だけから見れば、大成功である。関係者が本気になって、知恵を出しあった成果であることは間違いない。 だが、これが成功と呼べるかは、動物園マネジメントの問題を越える。成功か失敗かは、自治体のマネジメント如何である。この集客力を梃子にして、地域を発展させることができるかの手腕が問われる。 特にやっかいなのは、日本の自治体の特徴、「モノ真似」志向である。他の動物園も見習って、同じことを始めるかもしれない。類似施設でお客の取り合いを始めるのである。こんなことに巻き込まれたらたまったものではない。 しかも、集客だけが重要なのではない。「公的」動物園の問題は、入園料が余りに安い点も忘れるべきでない。上野動物園は600円、旭山動物園は580円だ。 ちなみに、八景島シーパラダイスの1DAYチケットは4,900円、アクアミュージアムだけなら2,450円だ。長時間すごすから、入園料に加えて、園内での飲食代金が落ちる。おそらく、これでも、水族館事業は楽ではなかろう。 これに比べると、旭山動物園の入園料は超格安だ。 動物園は運営費用が重くのしかかる。その上、改装投資負担は軽くない。附帯ビジネスやスポンサー等、様々な収入源を確保しないと、帳尻を合わせるのは難しいのが実情だろう。 と言うと、必ず乗数効果の議論にすりかわることが多い。 旭山動物園で見れば、施設整備にかかった投資額の2.67倍の波及効果があるそうだ。(4) 従って、投資は十分ペイしている、との主張らしいが、ビジネスマンは、このような数字より、税金が増収基調なのかの方が気になる。 とは言え、実は、そのような机上の議論は意味が薄い。 重要なのは、地域の人達のマインドを変えることができるかだ。 動物園の変革に刺激され、斬新なコンセプトの観光産業を立ちあげることができれば成功、できなければ失敗である。変革の志士が登場するかが問われていると見た方がよい。 旭山動物園への投資の最大のメリットは、変革が可能なことを、地域の人達に示した点である。 --- 参照 --- (1) http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/asahiyamazoo/sc02.html (2) http://asahikawa.tv/zooclub/ (3) http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040807i305.htm (4) http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/kikaku/013/main.htm 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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