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2006.11.20 |
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日本の構造崩壊路線…マクロでの世界経済の不均衡が余りにひどくなってきたようだ。言うまでもないが、米国の過剰消費とそれに対応する中国への過剰投資のことである。歪を拡大させている張本人は、多国籍企業と中国の地方政府だから、コントロールは難しい。 当たりまえだが、資本に国境などない。 ドル安にならないのも、中国が稼いだ膨大なお金がドルで回っているからに違いない。円高にならないのも、海外で円貨を保有したい機関が無いだけのことかも知れぬ。利潤を求めて、資金はどこにでも動いていく。 “The search for yield and for illiquidity knows no borders as oceans of capital spread across the globe, and asset prices across the globe are being pumped up. As one says in French, "Pourvu que ca dure!"”(1) しかし、米国が消費を落とし、中国政府が本格的な投資抑制に動けば、世界の経済は急速に減速することになる。と言うより、遠からず、グローバルな資本市場でバブルが弾けるということだ。世界経済減速程度で済めば幸いと見るべきなのかも知れぬ。 米国と中国が世界経済の発展を支えているのは誰の目にもあきらかであり、その代理役が無い状況では、2007年の調整は不可避ということだろう。 “As the US now slows and Beijing gets serious in its cooling-off campaign, the risks to global growth remain skewed to the downside of 4.9% consensus expectations for 2007.”(2) そうなると、各国が投資と消費のバランスを図る必要があるのだが、それは無理だろう。日本の過去を見ても、そんなことが簡単にできる筈がない。・・・と皆が考えているようだ。日本の教訓は貴重なのである。 確かに、分かり易い例だ。 国内消費を高め、輸出が牽引する経済構造から脱することを狙う筈だったが、結局のところ掛け声だけ。ようやく90年代の不振を脱したといっても、消費が好調な訳ではない。“構造改革”とのスローガンは掲げるが、実は変える気などない。相変わらず、輸出と政府のバラマキが経済を支えている状況だ。 もっとも、変わっていないと言うと大間違い。 とんでもないレベルの債務を抱え、高齢化と労働人口縮小が始まっているからだ。 にもかかわらず、政治家には、危機感ゼロ。中東のエネルギーや、北朝鮮の核といった、安全保障問題と教育論議に大忙しである。 観念論での討論ができるようになって、嬉しくてしかたがないといった風情。 リアリズムから離れた政治ほど怖いものはない。 日本の安全保障は米国に頼っているのである。独自の政策展開など図りようがない。つまらぬ虚勢や、観念論の議論など無用である。下手な動きをすれば、日本経済は大乱調に見舞われるだけで、何のメリットもない。 そんなことより、“構造改革”をどうするつもりなのだ。今のままなら、国内消費が伸張することなど考えられまい。 日本では、“構造改革”ではなく、構造的崩壊が始まっているのかもしれない。 --- 参照 --- (1) Raghuram G. Rajan [Economic Counselor/Director of Research, IMF]: “Benign Financial Conditions, Asset Management, and Political Risks: Trying to Make Sense of Our Times” [2006.10.5-6] http://www.imf.org/external/np/speeches/2006/100506.htm (2) Stephen S. Roach [Chief Economist, Morgan Stanley]: “The Fallacy of Global Decoupling” [2006.10.31] http://www.morganstanley.com/views/gsb/index.html#anchor3892 (参考) William Pesek: “Japan Must Beat Roach's Forces of Globalization” Bloomberg [2006.11.1] http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601039&sid=a0HAJjclalhU&refer=columnist_pesek 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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