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2005.6.27
 
 


風力発電ブームの怪…

 環境派が絶賛する風力発電所建設ラッシュである。
  → 「洋上風車が動き始める 」 (2003年6月3日)

 こうした新エネルギー開発には公的資金が投入されるから、当然の流れである。世界に冠たる補助額と言ってもさしつかえあるまい。
 世界中のエコ派の喝采を呼ぶし、石油依存を減らす努力の象徴にもなるから、政府は嬉しくてしかたがないだろう。

 原子力発電と違って反対の声はでないから、この流れはさらに進むが、こんなことをしていてよいのか。

 ・・・と考えさせられたのは、先日、エコ派を自称する人が風力発電をどんどん進めるべきとの発言を耳にしたからである。

 風力発電コストは下がり続けており、他のエネルギーより安いというのである。冗談ではなく、本気で語っているので驚いた。適当なところでお茶を濁す程度の活動かと思ったら、そうではないので呆れた。

 原子力発電所を地代タダで、東京のど真ん中に作ると電気代はとてつもなく安くなると主張する人はいないと思うが、風力発電の分野ではそんな論理が通るらしい。
 風力発電機器価格で見れば発電コストは安いという話と、現実の風力発電所の発電コストがいくらになるかという話は全く次元が違う。おそらく、こんなことは分かっているのだろうが、風力発電を喧伝するために理屈をつけるのだから始末が悪い。

 日本は、どう見ても、風力発電には向かない国だと思う。風車をたててもかまわない広大な台地などないし、人が住まない長い海岸線もほんの僅かだ。
 風光明媚な観光地や、人が住んでいるところに、いきなり低音の唸り音がでる風車を林立させてかまわないのなら別だが、風力発電に向いた場所など、日本には滅多にないのは常識だと思うのだが。

 ところが、こうした人達の手で、風力発電の薔薇色のシナリオが作られていく。こまったものだ。

 どうしてこうなるかと言えば、地方がハコモノ建設を渇望しているからだ。

 このままなら、間違いなく、辺鄙なところで、建築しにくい土地とか、建てやすくても風がたいして吹かない場所に、無理に風車を建設することになろう。資材搬入が面倒な山岳部でもラッシュが始まりかねない。専門家なら、都合のよい理屈を見つけて建築を推進するなどお手のものだろう。しかも、エコ派が応援してくれるのである。

 当然だが、建築費用は、最低でも発電機器価格の数倍に達するのは間違いない。その上、たいした電力量でもないのに、送電線を引く費用も加わる。
 これらを合計すれば、他の発電と競争できる価格どころの話ではない。メインテナンスも考えれば、建てたあと、ほとぼりが冷めたら停止することになりかねない。
 これがエコに貢献する日本の風力発電の実態ではないのか。

 この見方が間違いというなら、はっきりと数字を示して欲しい。
 などと言っても、聞く耳を持つ人はいない。皆、風力発電大賛成なのであるから。
 納税者だけが大損する訳である。

 ちなみに、2004年度の風力発電設備は924基もあり、総“容量”は926,575kWだ。急増中である。(1)
 その一方、たいした歴史もないのに、すでに撤去・休止が発生している。すでに、その累積出力量は7,689kWに達した。(2)

 --- 参照 ---
(1) http://www.nedo.go.jp/intro/pamph/fuuryoku/suii_graph.pdf
(2) http://www.nedo.go.jp/intro/pamph/fuuryoku/tekkyo_ichiran.pdf


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