両生類分類を眺めて 現世種両生類は、ほぼすべてが淡水域棲息。 以下の3つのグループに分けられている。区分自体はわかり易いが、陸上棲化とどう繋がるのか、相互関係はどうなっているのかの想像がつかないのが、素人にとってはつらいところ。 以下のようなところ。 ●代表的生物といえば「カエル」だ。尾が無いことが特徴とされ、「無尾」グループ。 日本でよくみかけるのは、雨蛙、姫雨蛙、赤蛙、青蛙、蟇蛙、等。体の表面が粘液で覆われた皮膚。陸上に上がるために不可欠な特徴とは言い難いから、尾が無いことも含め、原初形態から、かなり進化した結果と見るべきだろう。 海外のカエルを見ると、結構、色々な発展形態があるようで、それぞれ、成る程感あり。 ・昔蛙: 尾を動かす筋肉の痕跡 ・雨蛙擬: 薄皮なので骨や内臓が露見 ・鼻蛙: 地上産卵後鳴嚢収容 孵化後口から登場 ・亀蛙: カメ似 ・矢毒蛙: 派手な色で猛毒 ・ピパ: 完全水棲 ●陸上にあがってきたのに、歩けない「無足」グループもある。 「アシナシイモリ」と呼ばれている生物である。熱帯に棲むらしく、小生は一度も見たことはないが、写真で見る限り、どうみてもミミズの親分。コリャ、なんだかね生物に近い。足が退化したイモリと見なすらしいが、いかにも、特殊化した結果に映る。 ●やはり、伝統を感じさせるのは、長い尾がある「有尾」グループの「サンショウウオ」。もちろん、「イモリ」もこのなかに入る。 冷涼で多湿な北半球に棲息。 これを踏まえて、絶滅化石の種を加えて、包括的な分類を見てみよう。3つに分かれる模様。 ●平滑系・・・上記現世種(3グループ) 無尾目 無足目 有尾目 ●迷歯系・・・滅茶苦茶な迷路型の歯が生えているいうことか。(3グループ) イクチオステガ目 分椎目 炭竜目 ●空椎系・・・脊椎の関節構造が精緻ということか。(4グループ) 欠脚目 ネクトリド目 細竜目 リソロフィス目 化石の分類名は素人にとっては、ほとんどなにがなにやらである。好きな方以外は、覚えてどうするの状態と言ってよいだろう。 入門的な新書を読んでみたが、なかなかの難易度と言ってよいだろう。わかってないことが多すぎ、読む方としてはかなり辛いのである。あて推量で、こんなことかな、といった記述だと俄然面白くなるのだが、学者の立場上そうもいくまい。 両生類は、デボン紀終わりの頃に[3億6千万年前]、這うことができる形状(葉状で肉質)の鰭を持ち、肺呼吸可能な魚類が、陸上生活可能な生物へと進化したとされている。 そう思って、現世種の「平滑」系を眺めると、余りにギャップがありすぎる。元祖から、かなりかけ離れている感じは否めない。と言うことは、「迷歯」系あるいは「空椎」系あたりが始まりで、そこから「平滑」系と考えるのが素直。 ということで、それらの化石を解説したものを読むのが筋だが、「肉鰭」魚類が陸上進出を企てた状況を勝手に想像してみるのも面白かろう。 小生は以下のようにまとめてみた。素人的常識の範囲内であるから、それほど違和感を覚える人もいないと思うがどうだとうか。・・・ ●当たり前とも言える、不可欠な機能 ・非水中呼吸器 -肺が必須。皮膚呼吸は不可欠ではなかろう。 -気道経路内に臭覚器官。フェロモン感知器も。 ・陸上での音を捉える聴覚器としての鼓膜 ・・・両方揃えば非魚類ということか。 眼も要空中適用化。(化石判別は無理) ●明らかにママが妥当と思われる特徴 ・水中移動も必要。尾鰭は丈夫で大型がよい。 ・体表面は、硬い鱗を変える必然性はない。 -腹側は鱗が最適。 -背側は硬いほどよかろう。 -但し、側線不要化に伴い変化は生じる。 ・・・無尾のカエルとは正反対の特徴。 ●ママに見えるが相当に変化している筈の部位 ・頑丈な脊椎骨に変わったに違いない。 ・脊椎可撓性担保の構造も必要だろう。 ・・・軽量骨のカエルとは正反対の特徴。 ●肝は、陸上移動実現の仕組み ・尾も陸上移動用に使用した筈。 -3点の上下肢歩行ではない。 ・腹ばい型動きのため腹と下顎下部は平滑化する。 ・這うのに適した形状へと4肢が発達する。 -4肢は体躯の下ではなく、横に張り出す。 -下肢を支える骨は強固なものとなる。 骨盤、太モモ(大腿骨)、スネ(脛骨) ・扇骨型に開く5本指で、水掻き形状に。 ・・・要するに、鰭から足への転換。 ●魚/昆虫食に対応した口と体躯の構造 ・原始両生類は大型魚類から発生したのでは。 -体の重量で餌を押さえ込む捕獲方法では。 -体躯を一気に動かす強靭な尾が必要だろう。 ・上下顎による挟み込み捕食に徹したとも言える。 -下顎下面は迅速移動のため平坦になる。 -下顎の歯はひっかかり程度の役割で十分だ。 -上顎は大きく開き、歯を餌に刺すことになろう。 従って、上顎上の頭部は軽量化 頭蓋骨は平坦化 口を開くのでなく、頭を上げる方式 -顎を挟む筋肉の瞬発力は絶大な筈だ。 -咀嚼型にはならない。 ・・・ここら辺りの考え方が重要なのでは。 ●生殖活動は最低限の対応となろう。 ・精子散乱でなく、雌に精嚢を譲渡し受精してもらう。 -早晩、交接型に進むと思われる。 ・ゼラチン質で包まれた卵を水中で産卵する。 -水中類似環境の胎生に進み易そう。 まあ、生殖を除けば、鰐に限りなく近しということ。そう見ると、鰐型化石が含まれている、「迷歯」系の炭竜目が近そうだが、これは石炭紀出現のトカゲ様ということだから、両生類元祖近しとは言い難い。流れはこんなところか。常識的には(3)を祖と認定するしかなかろう。 (1) 魚の特徴濃厚派・・・イクチオステガ目 (2) 水棲弱体長顎派・・・分椎目 (3) 陸棲頑丈長顎派・・・分椎目 (4) 頭部鰐型派・・・炭竜目 もう一つの「空椎」系だが、こちらは体躯は非重厚タイプ。小型のニッチ棲息種的な色彩濃厚。亜流臭い。雑多な集まりということかも知れぬ。 (本) ジェニファ クラック: 「手足を持った魚たち―脊椎動物の上陸戦略 シリーズ「生命の歴史」〈3〉」 講談社現代新書 2000 分類の考え方−INDEX >>> HOME>>> (C) 2013 RandDManagement.com |