■■■ 分類の考え方 2014.2.19 ■■■


桐の概念

「○○桐」と呼ばれる樹木は、植物分類学で見ると、とんでもなく雑多。
一寸調べてみたのだが、ここまで、バラバラとは思わなかった。
ご存知、桐葉は由緒正しきものとされる。
無文字社会の時代から、まつりごと用聖琴に用いられていたそうで、「キリ」という名前も大切に扱いそうなものだが、木の名称に使うことについては、ほとんど気にもかけなかったようだ。

おそらくは、矢鱈に大きい葉が密集してついている木だと感じたら、それは「桐」というのが、日本的感性なのだろう。
以下にサイズを引用したが、まあ、トップクラスである。若木だとこんなものではなく、50cm級当たり前とか。
しかし、目を引くのは黄葉した成木。自重で一枚づつ、ふんわりと落ちていくのである。その様に感じ入った人は少なくなかった筈。
 ─ 葉長 x 葉幅 [cm] ─
 キ リ ・・・ 213 x 239.8
カクレミノ・・・ 218.8 x 196.9
アオギリ ・・・ 226.3 x 295.9
ヤ ツ デ・・・ 303 x 464.3

だが、今や、桐の葉を見たこともない人だらけ。こんな感覚も失われていくのだろう。都会の歩道上に積もる銀杏葉と同じようなイメージになってしまうのかも。
以下の有名な歌など、どんなシーンと受け取られているのかわかったものではない。
 桐の葉も 踏み分けがたく なりにけり
  必ず人を 待つとなけれど

    式子内親王 [1149-1201] (新古今集#524)

─・─ 6ッの「目」に「キリ名」あり ─・─
【木蓮群】
クスノキ目ハスノハギリ科ハスノハギリ属
 ・ハスノハギリ/蓮葉
【薔薇群】
キントラノオ目ヤナギ科イイギリ属
 ・イイギリ/
キントラノオ目トウダイグサ科アブラギリ属
 ・シナアブラギリ/支那油/Tung-oil tree
キントラノオ目トウダイグサ科タイワンアブラギリ属
 ・ナンヨウアブラギリ/南洋油/Barbados nut
 ・サンゴアブラギリ/珊瑚油/Buddha Belly Plant or Bottleplant Shrub
アオイ目アオギリ科アオギリ属
 ・アオギリ/[梧]/Phoenix tree or Chinese parasol tree
 ・ケナシアオギリ/毛無青
アオイ目アオギリ科チャセンギリ属
アオイ目アオギリ科ピンポンノキ属
 ・ヤツデアオギリ/八手青/Bastard poon tree or Wild almond tree
【菊群】
シソ目クマツヅラ科クサギ属
 ・ヒギリ/
セリ目ウコギ科ハリギリ属
 ・ハリギリ//Prickly castor oil tree
 ・ケハリギリ
 ・リュウキュウハリギリ/琉球針
ゴマノハグサ目ゴマノハグサ科キリ属
 ・キリ/[白]/Empress tree
 ・ココノエギリ/

─・─ 被子植物分類のなかでの「キリ名」 ─・─
アムボレラ,スイレン,アウストロバイレヤ

┌──クスノキハスノハギリ科ハスノハギリ
┌┤
│└──モクレン
┌┤・・・【木蓮群】
│┌┤└───コショウ,カネラ
││└────センリョウ
└┤
│┌単子葉類
└┤┌───マツモ
└┤
└↓(真正双子葉類)

真正双子葉類
├──────キンポウゲ,アワブキ,ヤマモガシ,ヤマグルマ,ツゲ,グンネラ
(主流)
├─────ベルベリドプシス
├─────ビワモドキ,ナデシコ
├─────ビャクダン
│┌────ユキノシタ
├┤┌───ブドウ
│└┤
(薔薇群)
└──(菊群)

薔薇群】↑
├───クロッソソマ,フウロソウ,フトモモ
│┌──ハマビシ
││┌─ニシキギ.カタバミ
││└─キントラノオヤナギ科イイギリ
││    トウダイグサ科アブラギリタイワンアブラギリ
├┤┌─ウリ
│└┤
├─ブナ
└─マメ,バラ
│┌──ムクロジ
└┤┌─フエルデア
└┤┌アブラナ
└┤
アオイアオギリ科アオギリチャセンギリピンポンノキ

菊群】↑
├─────(ミズキ)
│┌────(ツツジ)
└┤┌──(ガリア),他

│┌┤┌─リンドウ,他
││└┤┌ナス
││└┤
││シソクマツヅラ科クサギ
└┤┌─(モチノキ)
└─┤┌キク
└┤┌マツムシソウ
└┤
(セリ)ウコギ科ハリギリ
[上記キク群とは異なる分類]アワゴケ,オオバコ,キキョウ,アカネ,カリケラ,
ゴマノハグサゴマノハグサキリ

(参照)
福原達人(福岡教育大学 教育学部 准教授):「被子植物の目レベルの系統樹」 http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/angiotree_01.html
[葉の形 データ]http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/jikken/leaf_shape_2001.html


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