表紙 目次 | ■■■ 分類の考え方 2014.8.16 ■■■ 山椒魚の分布を眺めて この7月、上野動物園のオオサンショウウオの定期健診が行われたそうである。みるからにユーモラスな風体だが、鷹揚という訳にはいかず、それなりに神経質なのだとか。皮膚から、臭う白色液体を分泌するという。山椒の香りとは似ても似つかぬもので、一旦、付着するとなかなか落ちないらしい。・・・どういう機能を発揮しているのだろうか。 ともあれ、身長115cm、体重13Kgで、2009年のデータは115cm、12Kgだから、その辺りが、水槽に合わせたベスト体型なのだろう。 この動物は言うまでもなく、両生類で、以下のような位置となる。 ─・─・─両生類の分類─・─・─ ┌──蛙【4足無尾】@ほぼ全世界 │┼┌山椒魚/小鯢@ほとんど東アジア(非熱帯亜熱帯気候) │┌┤ ││└大山椒魚/隠鰓鯢@日本、中国、米国東部 ├┤【4足有尾】 ││┌サイレン/鰻螈@北米南東 │└┤ │┼└井守/蠑螈@ユーラシア、地中海沿岸、北米 │ ・プレソドン@北米、例外的に南米含む └──足無井守【無足有尾】@熱帯 東アジアの大山椒魚は以下の2種だけ。特殊な種と言ってよさそう。 ●大山椒魚/日本大鯢 三重・愛知・岐阜 兵庫・中国/四国、大分 中国大陸一部 ●中国大山椒魚/大鯢(娃娃魚) [人為的移入]加茂川水系、台湾 [固有種]中国南部 一方、それと比べると極めて小さな動物の「山椒魚」には結構沢山の種が発見されている。しかも、まだ、未発見の種もありそうなのだ。上野動物園では在関東種4種を見ることができるが、素人にはどこが違うのか全くわからず。 ともあれ、多くは中国と日本に存在しており、かなり偏った分布の仕方をしているようだ。 体は小さいし、乾燥地帯を越えた移動はできないから、孤立化した水辺で独自の進化を遂げたため、種類が多いということなのだろう。山がちで、水にはことかかない、日本の地は山椒魚にとっては棲みやすい土地だったのは間違いなさそう。 人為的に移入を図ったこともあったろうが、概ね、自然条件を反映した分布になっているのではなかろうか。 と言うことは、日本の古代の地方区分は、山椒魚君に分類が一番あっているということかも知れぬ。 と言うことで、以下、整理してみた。コメントするのはさしひかえよう。 <寒冷地系> □蝦夷山椒魚---静水域 北海道全土 □東北山椒魚---静水域 東北・新潟北部 □黒山椒魚/佐渡山椒魚---静水域 東北(除く:三陸海岸)・甲信越・関東北西部・岐阜北部・能登半島・福井北部 佐渡島 □北陸山椒魚---静水域 能登半島、富山東端 □白馬山椒魚/山山椒魚---静水域 富山西端・白馬・青梅[新潟] □飛騨山椒魚---山地渓流 甲信越・岐阜・北陸・滋賀・京都・中国地方日本海側(除く:山口) □赤石山椒魚---山地渓流 赤石山脈 □阿部山椒魚(阿部余四男献名)---静水域 京丹後・豊岡・福井北部一部 <温暖地系> □東京山椒魚---静水域 関東(除く:甲信越側)と福島南東部 □隠岐山椒魚---山地渓流 隠岐 □対馬山椒魚---静水域 対馬 □霞山椒魚 or 尾張山椒魚---静水域 愛知・紀伊半島・兵庫瀬戸内側・中国地方・四国瀬戸内側・九州北部・熊本 □大台ケ原山椒魚---山地渓流 紀伊半島・四国・大分・宮崎・熊本を通貫する山岳部 □石鎚山椒魚---山地渓流 四国 □斑(ブチ)山椒魚---山地渓流 九州・中国地方・兵庫 四国(除く:瀬戸内海側)・紀伊半島 □大分山椒魚---静水域 大分・熊本一部・宮崎海岸側・高知南端(僅か) □鼈甲山椒魚---山地渓流 鹿児島北部・熊本・宮崎山側 <低温地域系> ○北(シベリア)山椒魚 釧路湿原(飛び地) [海外]国後島-色丹島、大陸 ○箱根山椒魚・・・肺欠落種 本州・四国(除く:山口,中国地方日本海側,宮城以南の太平洋側) ○筑波箱根山椒魚 筑波山 ○四国箱根山椒魚 四国剣山-石鎚山系 ◎ハバロフスク山椒魚 [海外]露ハバロフスク ◎爪鯢 吉林 以下は参考として。 <海外> □阿里山(Alishan)小鯢 台湾阿里山 □台湾小鯢 台湾山岳地 □台湾小山椒魚 台湾雪山/観霧山 □楚南小鯢 台湾楚南 □中国小鯢 福建・湖北 □安吉(Amji)小鯢 浙江安吉 □義烏(Yiwu)小鯢 浙江義烏 □佛光山小鯢 湖南祁陽 □商城肥鯢 安徽・河南・湖北 ◆新疆北鯢 カザフ・露・新疆ウイグル □東北小鯢 東北・朝鮮半島元山-丹東 ◇済州島山椒魚 済州島 ◇古里山椒魚 釜山古里 ◇トルキスタン山椒魚 キルギス・タジク・ウズベク △巫山北鯢 湖北・河南・四川・陝西 △秦巴拟小鯢 四川・陝西 *中東山椒魚系 ゴルガン,ペルシア,アフガニスタン (参考) かわいい☆クロサンショウウオ | サンショウウオの分布 http://xto.be/cgi/distribution/distribution.cgi (C) 2014 RandDManagement.com |