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■ 分類の考え方 2014.11.4 ■


陸棲毛類四脚動物の文字分類

漢字の部首表記が思っていた以上にいい加減なことを知った。
いかにも野獣という印象を与える偏/旁でのこと。
 [けもの] = [いぬ]
 𧰨/[いのこ]
 [むじな]

驚いたことに、明確に定義されていないのである。猪は偏だが、もともとはイノコだから豕であり、どう考えても間違いである。正しくは、𧰨偏のだろう。
イノシシは例外的だろうと思っていたら、そうでもないのである。
豹の偏はだが、その同類としか思えないネコの文字が同じ部首で存在するのだ。今迄、猫という文字以外に見かけたことはなかったが、という、もともとの文字があるではないか。ビックリした。
という似たものが2つあって面倒だというなら、豹だけ残すのは腑に落ちぬ。なにか理由があった筈だ。

そんなことが気になったので、陸棲毛類四脚動物を漢字構造の視点から分類してみたくなった。それを通じて、古代人の哺乳類の見方が見えてくるかも知れぬから。

ともあれ、もともとは上記のような3分類が存在していたのは間違いない訳で、まずはその視点を探ることから始めてみよう。
一寸見には、なんだ単純な話となる。Dog、Hog、Catという代表が見えているからだ。
しかし、すぐに、そうはいかないことがわかる。Dogに猿が入っているからだ。しかも、の親類とおぼしきライオンも獅だから、ここに属すことになる。こうなると滅茶苦茶。

しかし、俯瞰的に眺めると、こういうことになりはしないか。完璧に合致してはいないが。・・・

群棲狩猟族・・・「
 犬・狗
  (ハイエナ)@インドにも --- 鬣(タテガミ)が特徴なのである。
 狼
 狐
 獅(インドライオン)
 猿・猩・猴
 (マングース)

群棲半狩猟族・・・「𧰨
 [猪]
 豪(ヤマアラシ)

孤棲鉤爪手狩猟族・・・「
 豹
  華北豹
  雪豹
 [猫]
  <類似4種:狸,白鼻芯,穴熊,洗熊(浣熊)>
 [狸](タヌキ)
  果子狸(ハクビシン)
 [](アナグマ)
 貉  (むじな=アライグマ)
 貂[](テン)
 [獏]
 【水棲】𧴡[獺](カワウソ)

従って、上記に含まれない大型狩猟族は特別扱いされていると見てよいだろう。

そのような動物は2族に限られるようだ。
一つは、豹の発展形のカンジがするトラである。
虎族・・・「」 虍頭に儿(あし)をつけただけ。

超別格は、動物なのに部首は「火」とされる場合があること。"れっか/れんが"と呼ぶ「」が使われている訳で、通常の犠牲系の信仰とは違うことを示しているのだろう。
熊族・・・「
  黒熊(月輪熊)@亜洲
  羆(ヒグマ/緋熊) --- はアミガシラだろうか。
  白熊(北極熊)
  熊(怠熊)@インド
  馬来熊@東南アジア --- 熊だが超小型でペット並。別名ではない。
ただ、穴熊のような、熊に多少似ているだけでつけられた通称的な「熊」名称はここには含まれない。尚、浣熊の名称は、貉(むじな)であり、偏の発祥名である。

要するに、虎と熊に豹だけは、別格だが、他は毛モノ(獣)の基本種と考えようとなれば、「」偏だらけになる訳だ。別格とは、犬並には扱えぬということだろう。つまり、犬と一緒になって狩猟の対象とするには余りに大事で、避けて当然ということ。

残りは非狩猟族ということになる。

豕と似た漢字だが、独自の象形文字で示される動物は、虎や熊と同じ扱いと見てよかろう。
象族・・・「

次は、角族である。漢字を見れば一目瞭然だが、3種類ある。

大型角族・・・「
 牛・水牛
 犀
 (ヤク)

中型角族・・・「𦍌
 羊
 山羊
 羚羊(アンテロープ)

中型落角族・・・「鹿
 鹿
 麒麟(空想動物で、実在のキリンではないようだが)

角はないが、明らかに鬣(たてがみ)をなびかせ、脚が跳ねる様子を示す漢字の動物も一大分類として存在している。
疾走族・・・「
 馬
 驢馬
 河馬
 駱駝

さらに毛色の変わった漢字で表記する動物がある。漢字を見れば、何が特徴か一目でわかる。2種類あるが、字体上、相互関係は全く無い。
小型長耳族・・・「
 兎

小型歯尾族・・・「
 鼠
 栗鼠(リス)
 (ムササビ)
 鼬(イタチ)
 (モグラ)

見たところ、漢字の成り立ちから判断すると、陸棲哺乳類動物として登場するのは上記で網羅されていそう。(もちろん漢字のなりたちの話であるから、南北アメリカ大陸、オーストラリア、サブサハラ、南極は完璧に視野外である。)
自然分類としては、まともなものと言えそう。と言うか、文字を知っているから、その思想が頭に叩き込まれているだけかも知れぬが。
分類結果の暗記強要ほど有害なものはなく、まずは体系化の基底にある理屈を知ることからと考えるからだが。


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