表紙 目次 | ■ 分類の考え方 2014.12.26 ■ 鳥分岐図を眺めて "Science"[12 December 2014]の表紙は鳥。 ファッショナブルな雲雀のお話とか、毒鳥Pitohuiといった興味を惹く生態話ではなく、分子生物学的話題が登場するとは思ってもいなかった。すでに、鳥とは恐竜というのは常識化してしまったし、分岐判定による分類訂正も進んでいるから、いまさら大々的に取り上げることもなかろうと思っていたのだが。 系統分岐論で先鞭をつけたのは鳥の分野になるとは。 確かに、大分前から、DNA、安定同位体、バイオロギングが研究の華となっていたからその兆候はあったとはいえ。 特集論文は、"A flock of genomes"と"鳥の起源を解明するための統合的アプローチ"。もちろん、関係論文も満載。 その目玉は、多面的評価の進め方がほぼ決まったということか。と言うか、中核は「統計的ビニング」なのだろう。これにより、相反する結果の併存を避けることができるようになり、系統図推定の標準的な方法論ができあがったということのようだ。 もっとも素人的には、そんな話はさっぱりわからぬ。"全ゲノム解析は現代の鳥の生命樹における初期の分岐を明らかに"という紹介文に惹かれるだけ。系統樹がどれだけ変わったのか、気になる訳だが、今迄もかなりの数の発表があったから、驚くほどの改訂があるとは思えないが。 ただ、哺乳類より、鳥の方が「進化のシナリオ」と勝手に想像するにはわかり易そう。分岐図を見て、どういうことか頭を働かしてみるのは、想像力もさることながら、創造力強化の訓練になるのではないか。 例えば、矢鱈に様々な種がある「スズメ目」とは、どんな経緯で発生したのか考えるだけでも面白かろう。 隼は鷲・鷹的な「猛禽類★」とは血縁関係が無いことがわかった訳だし、オウムとスズメ的な鳥が仲間だとなると、コリャ一体なんなんだとなろう。雀系は、いかにも種子植物全盛時代到来に合わせ、そのタネ、果実、蜜とやって来る昆虫を上手に食べるために棲み分けによる爆発的な多様化が進んだのは間違いなさそうだし、樹上棲というより枝上棲だから、樹木の高低部分での棲み分けもあったろう。 しかし、どういう経緯で分岐したのか、なにが雀族の本質的特徴なのかが、さっぱりわからない。 ┼┼┌スズメ類:雀,烏,百舌★,etc.・・・ ┼┌┤ ┼│└オウム類 ─┤ ┼└─ハヤブサ類★ それに、スズメの仲間である鳴禽類カラス族の風鳥(極楽鳥のこと)のように、なんらかの危機に瀕したからファッショナブルになったとはとうてい思えない鳥がいたりする訳だし。 そもそも、鳥は、どのようにして飛べるようになったかでさえ、未だにはっきりしていない。証拠探しが難しいというだけでなく、推論自体もどうも今一歩というところでは。 そう思うのは、、直感的(直観ではなく)シナリオ作りなら素人の方が面白いのでは、と考えたりするから。 天邪鬼なせいかも知れぬが、専門家の仮説にはどうもひっかかるものを感じる。 例えば、飛行仮説の説明だと、陸上で走って飛び立つか、樹上から落下傘あるいは滑空で飛ぶかという対立があるとの説明がされる。小生は、その中途ではないかと感じるクチ。対立を回避しようということではなく、現実感覚から。 時々しか飛ばないニワトリや全く飛べないペンギンを見ていると、樹上からとか、走行飛び立ちは、余りに極端な例としか思えないからである。ペンギンは、坂や段差でこけることが多いが、一所懸命登ろうとする時は、何故か、羽を広げたりする。バランスを取るつもりだろうか。飛ばないから、羽は潜水遊泳時にしか使わない筈だが、無意識で羽が動くのである。 ニワトリも同じようなことをする。坂や段差程度では、楽々と上るから見ることはできないが、ちょっとした台に上ろうとする時には必ず羽ばたく。飛ぶのとは明らかに違う動作である。羽を動かすハズミと風をおこして動き易くしているのだと思われる。 そんな調子で、半飛行体勢で低木の樹上に登ることもある。これは、明らかに、走行飛び立ちの前駆現象。 一方、樹上に登ってしまうと、静かになる。眠ってしまうことさえある。そこに、猫がやって来たりすると、えらくお嫌いと見え、その場から一目散に走って逃げることになる。どうするかと言えば、先ずは、羽ばたいて地面に降りるのだ。飛んでいるとは言い難い。その後、ストコラサッサと走って、その場から去って行く。これ又、樹上からの飛行開始を示唆している姿。 このようなシーンを見ていると、どちらが先という議論に意味があるとはとうてい思えない。 ちなみに、ニワトリとはキジ目キジ科赤色野鶏の家禽化種。極めて古い分岐でのボディプランに則っていると思われる。 ─・─・──以下、正確性は保証できませんのであしからず。─・─・─ 猛禽類だけ取り上げたが、ビックリ仰天の図である。 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┌雀類(鳴禽類)---百舌★ ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼│└太蘭鳥(亜鳴禽類) ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼┼┼┼┼│└─岩鷯[イワサザイ] ┼┼┼┼┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼┼┼┼│└──鸚鵡 ┼┼┼┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼┼┼│└───隼★ ┼┼┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼┼│└────野雁擬★ ┼┼┼┼┼┌┤[樹上棲] ┼┼┼┼┼││┼┼┼┼┼┼┌蜂喰 ┼┼┼┼┼││┼┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼││┼┼┼┼┼│└啄木鳥 ┼┼┼┼┼││┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼││┼┼┼┼│└─犀鳥 ┼┼┼┼┼││┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼││┼┼┼│└絹羽鳥 ┼┼┼┼┼││┼┼┌┤ ┼┼┼┼┼││┼┼│└─仏法僧 ┼┼┼┼┼││┼┌┤ ┼┼┼┼┼││┌┤└──鼠鳥 ┼┼┼┼┼││││ ┼┼┼┼┼│││└───梟★ ┼┼┼┼┼│└┤ ┼┼┼┼┼│┼│┌───鷹[欧亜ア]★ ┼┼┼┼┼│┼└┤ ┼┼┼┼┼│┼┼└───コンドル[米州]★ ┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼││┼┼┼┼┼┌ペリカン ┼┼┼┼││┼┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼││┼┼┼┼│└鷺 ┼┼┼┼││┼┼┼┌┤ ┼┼┼┼││┼┼┼│└─朱鷺 ┼┼┼┼││┼┼┌┤ ┼┼┼┼││┼┼│└──鵜 ┼┼┼┼││┼┌┤[温度帯] ┼┼┼┼││┼││┌──水薙鳥[北極海流] ┼┼┼┼││┼│└┤ ┼┼┼┼││┼│┼└──ペンギン[南極海流] ┼┼┼┼││┌┤┼ ┼┼┼┼│││└────阿比 ┼┼┼┼│└┤[水鳥/海鳥] ┼┼┼┼│┼│┌────熱帯鳥 ┼┼┼┼│┼└┤ ┼┼┼┼│┼┼└────蛇目鳥 ┼┼┼┌┤ ┼┼┼││┼┌千鳥 ┼┼┼││┌┤ ┼┼┼│││└鶴 ┼┼┼│└┤ ┼┼┼│┼└────爪羽鶏 ┼┼┌┤ ┼┼││┼┼┼┼┼┌蜂鳥 ┼┼││┼┼┌──┤ ┼┼││┌─┤┼┼└雨燕 ┼┼│││┼│ ┼┼│││┼└───夜鷹 ┼┼│└┤ ┼┼│┼│┼┌野雁 ┼┼│┼│┌┤ ┼┼│┼││└烏帽子鳥 ┼┼│┼└┤ ┼┼│┼┼└─郭公 ┼┼│ ┼┼│┼┼┼┌秧鶏擬 ┼┼│┼┼┌┤ ┼┼│┼┼│└沙鶏 ┼┼│┌─┤ ┼┌┤│┼└─鳩 ┼│└┤ ┼│┼│┼┼┼┼┌フラミンゴ ┼│┼└────┤[湿原/浅瀬] ┼│┼┼┼┼┼┼└鳰[カイツブリ] ┼│ ┌┤┼┌雁/鴨[水面遊泳型] │└─┤ │┼┼└雉[土着陸上型] ┤ │┌鴫駝鳥 └┤[走行型] ┼└駝鳥 ┼┼┼┼┼┤・・・白亜紀末の恐竜はじめ生物大絶滅時期に近い分岐 ┼┼┼┼┼鳥では、多くの種がその時期に分岐したとのこと。 (C) 2014 RandDManagement.com |