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■ 分類の考え方 2015.2.28 ■


「生物5界」の代替観を考える[続]

素人から見れば、生物「5界」仮説はすでに破綻している。と言うか、天動説的。そんなものを暗記させられるのはたまったものではなかろう。
繰り返しになり、シツコイとお感じになるかも知らぬが、どういうことか書いておこう。[→]

動植物の起源を無視した、モネラなる概念設定
「5界」は、細胞の「無核」[原核単細胞生物/モネラ] v.s. 「有核」[真核細胞生物]を最重要分岐とする考え方濃厚。
これは決定的に拙い。
進化の本質は、どう見ても「無核」細胞の、「真性細菌(堅固壁)」 v.s. 「始原(古)細菌(柔軟壁)分岐。他の種を取り込む、いわば、半キメラ化能力を持つ細胞が生またのである。その細胞の行く末はヒトであり、まさに進化の流れの原点。実に、クリティカルな分岐にもかかわらず、「5界」はそれを恣意的に無視している。両者を一緒くたにする発想は頭を混乱させるだけ。
この新型無核細胞が生まれたらこそ、ミトコンドリアと核という、相互依存しながらも独立した2群のDNAの細胞内共存状態を確立できた訳である。つまり、「真(有)核」とは、この分岐が産みだした結果にすぎまい。必要に迫られなければ、「無核」のままだし、他の細胞を取り込めば「有核」になり、それが不要になれば捨てるだけ。ミトコンドリアだろうが、葉緑体だろうが、なんでもアリの世界が出現した訳である。

原生生物という訳のわからぬゴミ箱使用
「真(有)核細胞生物」という定義はまことにわかり易い。従って、その概念で、元祖に近そうな単細胞生物のグループを「原生生物」と呼ぶのは、一見、悪くなさそう。細菌よりは確かに一段階進化を遂げているのは明らかなのだから。ところが、その先の分岐をボディプランで考えようとすると滅茶苦茶になる。多種多様すぎ、どうにもならないようだ。要するに、「訳のわからぬその他大勢」である。素人からすれば、そんなものに名前をつけてまとめてなんの意味があるのかさっぱりわからぬ。
「真性細菌(堅固壁)」 v.s. 「始原(古)細菌(柔軟壁)」を最初の分岐とし、それに倣って、次は他細胞を取り込む細胞壁の違いで分岐という絵を描いてもらうのが一番わかり易いのだが、できないのだろうか。例えば、「外形定型細胞生物」 v.s. 「外形不定型細胞生物」とか、「鞭毛移動型」 v.s. 「壁間粘着型」のように。
その違いが、動物、植物、菌、といった差違を生みだすことになるのでは。動物が葉緑素を持ってもかまわないが、特段のメリットはないし、葉緑素がたいして役に立たないなら、それを失った植物があってもおかしくないということ。何かを取り込んで、結局のところ失ってしまった生物もあるだろうし、そんなものを一括りにすれば多種多様でなにがなにやら状態になって当然だと思うが。
そんな風に考えると、「原生生物」という、共通項概念は不要というか、邪魔なだけである。例えば、以下のように、ある種の繊毛生物からヒトまでを「動物・菌系生物群」として一括りにするのがまとも。「5界」仮説では、3つになってしまう。
┌─特定の有核単細胞生物<原生生物の一部>
┤<動物・菌系生物群
│┌──仮足的アメーバ・粘菌類
└┤
│┌─黴/キノコ類<
└┤
└─<動物

わかるものだけ取り出した動物・植物型のまとめ方
「5界」仮説は、前述したように、原生動物がナンダカネ状態にもかかわらず、「モネラ→単細胞生物→多細胞発展種」というトーンを崩さないという強い思想性が見て取れる。
系譜がはっきりとわかっている、「動物」と「植物」という概念を崩したくないのだと思われる。反分岐主義濃厚と言わざるを得ない。要するに、わかり易いものをひとまとめにして、原生生物から分岐している"筈"という主張。極めてご都合主義的な考え方である。
要するに、動物、植物以外に、まとまるものがあるなら、いくつ加えてもかまわないとなる。「5界」とは、「菌」も容認しようと決めたにすぎない。他にあるのか、無いのか、はっきりさせないところがこの仮説の嬉しさなのかも。
  【1】 モネラ
  ↓
  【2】 原生生物
  ↓
  【3・4・5】 植物、菌、動物

上記を眺めただけでは、フーンで終わるが、小生には、以下のような恣意的な分類を敢えて行っているように映る訳である。A〜Eの5分類可能な系統を、わざわざ、黒・茶・緑・赤・青の5色で示した5分類に変えているようなもの。
┌Aα → C〜Eに繋がる。
┌A
│└Aβ

│┌B
└┤
C1α
│┌C1───C2
││└C1β
└┤
│┌Dα1Dα2

│├Dβ1Dβ2
││
│└Dγ


c

小生は、このような分類観を「暗記」によって頭に叩き込むのはまさに百害だと思う。

Wikiベースで考えれば、生物分類は、現段階ではこんな具合に考えるのが妥当では。・・・
(細胞壁の外形で大きく分かれると見ているだけの、素人が勝手に解釈したものなので、そのようなものとしてご覧のほど。)

┌───真性細菌

│┌──始原(古)細菌
└┤
│┌<葉緑体含む生物が多い群(細胞外形安定)
└┤
├<動物・菌系生物群(一方向単繊毛由来)
├<原始的生物群>(含:無ミトコンドリア有核細胞生物)
└その他

視点が全く異なることがわかろう。

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