表紙 目次 | ■ 分類の考え方 2015.3.5 ■ 「藻」だらけなので生物分類は難物 "モネラ・原生生物・植物・菌・動物"の「5界」分類は破綻しているという話を続けている。 どうでもよいといえば、どうでもよい話だが、日本語のウエブを眺めると、「5界」仮説を紹介する作文だらけなので驚かされる。教科書にそう記載されているのかも知れぬが。 暗記教育を止めるべしと考えるなら、このような「鵜呑み」情報を宣伝するのは止めた方がよかろう。 いつまでも続けていてもキリが無いので、「藻」の話をして〆ることにしたい。 「藻」といえば、すぐに思いだすのは、昆布のような海藻だろう。光合成する巨大多細胞生物だ。 常識的に、分類ば3区分となろう。 <褐藻>・・・コンブ,ワカメ,ヒジキ,ホンダワラ,等 <紅藻>・・・アサクサノリ,スサビノリ,テングサ,フノリ,オゴノリ,等 <緑藻>・・・アオサ,ヒトエグサ,ウミブドウ,ミル,等 しかし、これらは「5界」のどこに入るのか? 光合成しているから、植物の系譜に入れたくなるだろう。確かに、緑藻は苔、羊歯、種子植物とほとんど同類で、水中か陸上かの違いと言えなくもない。そして、その近縁が紅藻。従って、植物のカテゴリーに入れても違和感は生まれない。 ところが、「褐藻」になると、状況が一変する。「紅藻」を取り込んだ生物と見なされているからだ。「紅藻」が「藍藻」[原(無)核の真性細菌]を取り込んだようなものだから、親類とは言い難い訳である。と言って、より進化したものを取り込むのだから「原生生物」にする訳にもいくまい。そうなると、類縁の珪藻類を含め独立させるしかなかろう。そうなれば「6界」だ。そうなれば、それ以上は無いのかとなってこよう。 一方、植物性プランクトンは、光合成をするが、植物とは呼ばず、藻と呼ぶことが多い。微生物なので原生生物と見なすのかも知れぬが、小さくてもミジンコは甲殻類の動物である。従って、大きさで植物か否かを決める訳にもいくまい。細胞壁の違いにしても色々であり、何を植物と見なすかは、進化の見方そのものにかかわってくる話でもある。言い換えれば、「原生動物」とは、「細菌」と「植物・動物・菌」の間の生物すべてというナンダカネ概念ということになる。つまり、なにもわかっていないのに、わかったような表現にしているにすぎまい。これは拙い。 ということで、断片的なWiki情報を眺めて、素人が勝手に再編整理してみると以下のようになる。「藻」が、あちらこちらに登場する訳で、植物という概念形成で、光合成を第一義的に扱うことの難しさが歴然としている。・・・ しかし、よくよくみれば、どうということはないのでは。原生生物というものの見方を止めればの話であるが。植物系、動物系、古代系と大きく3つに分かれているだけのこと。従って、動物や植物を細胞外形柔軟性のような観点から再定義する必要はあるが、分岐のシナリオを描いて見れば、それほど複雑なことが起きている訳ではなさそう。 ┌真性細菌・・・葉緑体の祖先「藍藻」を含む。 ┤ │┌始原(古)細菌・・・葉緑体は無い。 ││┼┼(真性細菌を取り込める柔軟体制タイプ) └┤ ┼│↓<有核細胞生物>取り込んで有核化(細胞内に複数の独立DNA群) ┼│取り込み方[組織化]のタイプ(細胞壁の違いが大きい。) ┼│┌■葉緑体だらけの群[代表:植物] ┼└┤ ┼┼├■葉緑体は例外の群[代表:動物] ┼┼├■ミトコンドリア欠落もある古生物的な群 ┼┼│┼(原初的取り込み:その後、小胞消滅して核のみになる場合も) ┼┼│ ┼┼└■その他特殊(よくわからない。) ■S-A-R + P [Diaphoretickes] ┼┼┼┼┼┌───ビコソエカ(2本鞭毛の鞭毛虫) ┼┼┼┌─┤[無葉緑体]ビギラ ┼┼┼│┼└───無殻太陽虫 ┼┼┌┤S<ストラメノパイル> ┼┼││┼┼┼┌─ポリド藻 ┼┼││┼┼┌┤ ┼┼││┼┼│└─珪藻 ┼┼││┼┌┤ ┼┼││┼││┌─ペラゴ藻 ┼┼││┼│└┤ ┼┼││┼│┼└─ディクティオカ藻 ┼┼││┼│不等毛藻/オクロ藻 or 黄色植物 ┼┼││┌┤[紅藻由来葉緑体]★ ┼┼││││┌──真正眼点藻 ┼┼│││├┤ ┼┼││││└──黄金色藻 ┼┼││││ ┼┼││││┌──ラフィド藻 ┼┼│││└┤ ┼┼│││┼│┌─黄緑藻 ┼┼│││┼└┤ ┼┼│││┼┼│┌シゾクラディア藻 ┼┼│││┼┼└┤ ┼┼│││┼┼┼└褐藻 ┼┼│└┤ ┼┼│┼│┌───卵菌 ┼┼│┼└┤[無葉緑体]偽菌 ┼┼│┼┼└───サカゲツボ黴 ┼┌┤ ┼││┌─────繊毛虫(ゾウリムシ,ツリガネムシ,等) ┼│├┤A<アルベオラータ> ┼││├─────寄生性原虫系(マラリア原虫,等) ┼││└─────渦鞭毛藻/虫(ヤコウチュウ,等) ┼││ ┼││┌─────放散虫 ┼│└┤R<リザリア> ┼│┼├─────有孔虫(含:数10cm単細胞のクセノフィオフォラ) ┼│┼├─────クロララクニオン藻[摂食緑藻由来]◎ ┼│┼└─────アメーバ鞭毛虫 ┼│ ┼├───────クリプト藻(葉緑体喪失多し) ┼│┼┼┼┼┼┼┼└→ハテナ("藻")◎ ┼│ ┼├───────中心粒太陽虫 ┼│ ┼├───────テロネマ ┌┤ ││┌──────円石藻 │└┤ハプト藻[紅藻由来葉緑体]★ │┼└──────プリムネシウム(赤潮構成種) ┤ │┼┼┌─────[陸上植物]苔、羊歯、種子植物 │┼┌┤<緑色植物> │┼│└─────緑藻 │┼│┼┼┼┼┼┼┼└→プラシノ藻⇒◎ │┌┤ ││└──────紅藻⇒★ └┤P[藍藻由来葉緑体]・・・植物系 ┼└───────灰色藻 ■A-M-A-F [Amorphea] ┌──Aアメーバ動物 │┼┼(棍棒状,有殻,扁平,古,変形菌,タマホコリカビ,等) ┤ │┼┌M襟鞭毛虫 │┌┤ ││└A動物 ││┼┼└→食餌摂取藻の細胞内共生特殊動物 └┤<後方鞭毛生物> ┼└─F菌(黴、キノコ、酵母) ■原始真核生物 [Excavata]・・・原初的取り込みタイプ(その後、消滅も) ┼┌─トリコモナス ┌┤ミトコンドリア欠落鞭毛虫(動物共生体) │└─ランブル鞭毛虫 ┤ │┌─ミトコンドリア盤状クリステ(ネグレリア,等) └┤Discoba ┼└─ユーグレナ藻/緑虫[緑藻由来]◎ ■その他特殊(ピコビリ藻、等) (C) 2015 RandDManagement.com |