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魚の話  2005年12月22日
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ふぐの話…

 あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁 芭蕉
      河豚汁のわれ生きている寝覚め哉 蕪村

 冬の逸品アンコウの話をしたが、これはもっぱら東の話で、西なら河豚である。
  → 「あんこうの話 」 (2005年12月2日)

 フグは関西気質を象徴する食べ物のようだ。
 “テッサ”(鉄砲)はよく当たるぜ、と笑いとばしながら、美味しい河豚刺しををつつく姿が目に浮かぶようだ。

 とは言え、江戸の長屋でもよくフグを食べていたようで、落語の“らくだ”の一節にも登場する。
 「フグに当たって、ふぐまいちゃった…」(1)

 これも、上方落語の“駱駝の葬式”がモトネタだそうで、明治期に江戸風に改訂されたものだという。
 フグ毒の怖さをお笑いに変える関西ならでは作品といえよう。

 こんな話をするまでもなく、フグ毒は昔からよく知られている。
 しかし、今では、種毎に危険な部位が明確化されており、問題なく食べられる。

 ところが、それほど単純ではないらしい。

 フグ毒は食物連鎖で発生するとの説も説得力があるからだ。(2)
 毒性物を遮断した陸上養殖を行なうと、無毒フグが生産できるという。

 貝塚からフグの骨が発見されている話はをよく聞く。日本人は、縄文時代から、危険を省みず食べていたと思っていたのだが、実際のところ、その頃のフグは無毒だったのかもしれない。

 釣りでも、餌取り王者のクサフグはよく針に掛かる。あげたとたん膨れ、釣り人も仕掛けをヤラレふくれることになるが、なかにはその場で捨てず家に持って帰る人がいるそうだ。何をするつもりかしらないが、全身毒といった感じのフグだから、無謀さにあきれ返る。フグは毒と言われる部分を食べても当たらない時もあるため、危険を軽視してしまうのだろう。
 クサフグの集団産卵を眺めて愉しむならよいが、外道を食べてやろうなど、もっての他である。
 こんな人がいるから、毎年フグ中毒死が発生するのである。

 基本的に、フグ毒発生は条件で色々変わる訳である。安全と見られていた種でも、突然にして毒が発生する可能性がある。(3)

 要するに、よくわかっていないのである。

 猛毒の卵巣を、糠漬加工すると無毒化するというのも不思議な話である。(4)

 一寸前まで、この無毒化プロセスの研究者がいたらしいが、そのテーマを引き継ぐ化学者はいなかったようである。

 --- 参照 ---
(1) 「古今亭志ん生名演集(三)」[1958年録音]PCCG-00280
(2) http://www.fsc.go.jp/senmon/kabi_shizen/k-dai3/kabi3-tuikasiryou1.pdf
(3) http://www.maff.go.jp/kaigai/2002/20020423newyork57a.htm
(4) http://www.arayo.co.jp/sizen.html
 

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