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魚の話 2006年3月24日 |
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ばか貝の話…小柱の 天麩羅さくり 御前蕎麦 蕎麦屋で一杯やっていたら浮かんだ「バカ貝」とはいかにも可哀相な命名をしたものだ。 外見だけは蛤に似ているから、つい沢山獲って持ち帰ろうとする。ところが、この貝は殻が薄くて脆い。運ぶ途中で殻が壊れてしまう。腹が立つ。 そこで、よく見ると、口を開け、長い舌が出しっぱなし状態である。いかにもダラシナイ格好。このバカ野郎という気分に陥り、「バカ貝」になったのかな、などと想像してしまう。 良く知られているように、バカ貝の足の部分のむき身は、上総国青柳村産(1)のブランド名「アオヤギ」が名前になっている。寿司職人は粋を好むから、「生バカ」「茹でバカ」では駄目らしい。 「バカ貝」という名前が嫌なら、始めから違うものにしておけばよさそうなものだ。 「みなと貝」(2)とも呼ばれているようだから、こちらなら問題なかったと思うのだが。 貝柱の方は、わざわざ、「小柱」とか「あられ」と呼ぶ。(3) もともとは、生のホタテ貝など入手が難しかった筈だから、貝柱といえば、バカ貝だった筈だが、ホタテ貝に市場を席巻されてしまったため、「小柱」と呼ぶしかなくなったのだろう。名前には苦労させられている貝である。 さらに、「バカ貝」の干物加工品になると、別名になるそうだ。「姫貝」とか「きぬ貝」と呼ばれるという。(4) しかしながら、こちらは、どうも胡散臭い。 本物もあるのだろうが、価格から考えると、「バカ貝」ではなく、同じバカ貝科の「潮吹き」を使っている可能性もある。干せば、専門家でなければ、どちらかわかるまい。 「潮吹き」は潮干狩りでお馴染みの貝である。 「浅利」と一緒に沢山獲れる。知らないと、大漁と糠喜び。持って帰ると悲惨なことになる。いくら水に漬けておいても、「潮吹き」は決して砂を吐かないのである。じゃりじゃりして、とても食べられたものではない。 潮を吹くというから、砂も吐くと勘違いしそうな名前をどうして付けたのか、全く不愉快きわまる。こちらこそ真の「バカたれ貝」ではないか。 それはともかく、そのままなら、商品性ゼロの貝である。しかし、身を切り裂いて砂をよく洗い流せば、立派に「バカ貝」として通用すると思う。これを「姫貝」にしたと読んだのだが、如何なものか。 どういう訳か、バカ貝系統の名付けはいい加減だ。誰が命名したのか知らぬが、勝手し放題との印象は拭えまい。 そういえば、バカ貝科「姥貝」も、この名前が嫌われているようで、滅多に耳にすることが無い。 → 「ほっき貝 」 (2006年3月17日) --- 参照 --- (1) 今は, 市原市は工業地帯で、産地は富津に移った. http://www.city.futtsu.chiba.jp/futtsushi/kankou/tokusan/index_aoyagi.html (2) http://jp.encarta.msn.com/encyclopedia_1161543349/content.html (3) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%AB%E3%82%AC%E3%82%A4 (4) http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/bakagai/bakagai.html 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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