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魚の話  2006年9月1日
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さけの話…

  さけ1匹 名前をつけて 放流だ  本間達也(神納小6年)(1)

 鮭・鱒類には、降海型と陸封型があり、様々な種がある。
 このため、販売する方の都合で、余り細かな説明なく売られているのが現状だろう。

 しかし、素人からすれば、鮭とは、幼い時は日本の川で過ごし、十分な大きさになると川を下り、北太平洋の海で大きく育ち、4年後に産卵のため故郷に帰ってくる「シロザケ」である。

 その親戚はキングサーモン。
 ベニザケは遠戚である。
  → 「さくらますの話 」 (2005年5月6日)

 なにが多くて、どれが人気かは、スーパーの鮭缶を見れば一目瞭然。現在は、5種類が使われているそうだ。(2)
 安売りで見かけるのはカラフトマス(ピンク)
 余り見かけないが、次に多いのが、シロサケ(チャム)
 値段は高いが、結構人気があるのが、ベニザケ(レッド)
 後は、ギンザケ(シルバー)と、マスノスケ(キング)

 だが、種以上に、漁獲時期が味を左右する。
 産卵後のホッチャレは話にならないとしても、トキザケ、アキアジ、トキシラズ(春捕獲)、という名前がある位で、全く違った味と言ってよいだろう。
 それに、成長度合いの差も大きい。メジカ、ケイジ(翌年以降に産卵する未成熟のサケ)を喜ぶ人もいる。水産品だから当然のことだが。

 しかし、缶詰にすれば、その差は小さくなる。

 ともあれ、鮭と言えば、新巻(薄塩をあてただけの長期保存を目的としない塩引き品)である。
 朝食の新巻鮭の切身はかつては定番だった。
 従って、歴史があるかと思うと、意外なことに、大正時代に石狩川の漁師がつけたブランドだという。(3)
 たいしたものである。

 ちなみに、アイヌの正統保存方法は、一度塩漬したものを塩抜きして風乾した後に燻煙処理するというもの。
 今では、ただならぬ手間で、とても商品にできそうにないが、昔なら、漁に出られぬ時に処理をして、囲炉裏の上にぶら下げておくだけのことだったと思われる。大量生産には向かないやり方である。

 一時期に大量に獲れるのにもかかわらず、輸送と保存が難しかったから、缶詰と新巻以外は、なかなかビジネスにならなかったのだろう。

 しかし、今頃になって、当時の調理方法が、珍味となってよみがえっているから面白いものだ。

 もっとも、市場は、欧風型の輸入モノのスモークサーモン[ソフト燻製]が主流で、棒燻製[ハード]は無いようだ。
 燻製より、寒い時期の切身の風乾品、トバ[冬葉]に人気がでてきたようで、そこここで見かけるようになってきた。

 とは言え、珍味と言えば、なんといっても、内臓の塩漬・醤油漬の類だろう。滅多にお目にかかれないが、食通はなんとしても手に入れようとするようだ。
 お蔭で、様々な解説が流布しており、胡散臭さがつきまとう商品も多い。

 珍味とされているが、もともとは“食べ尽くす”(4)方法である。伝承食とか、正統品などと称すること自体がおかしい気もする。

 要は、雄の内臓をどう食べるかという話。その結果が、人気の、 メフン[腎臓]の醤油漬である。実際に売っているものは、血ワタの塩辛が多いようだが。
 次によく聞くのが、チュー[胃]の塩辛。胃袋だけでなく、腸、肝臓、大動脈を入れこんだり、麹漬とにする方が本来の姿のような気がするが。
 もちろん、心臓も使うことになるが、こちらはまだ知られていないようだ。

 頭の食べ方だが、こちらは、氷頭[鼻の軟骨]ナマス[三杯酢]で有名である。
 さらに、ササメ[鰓]の塩漬も、次第に知られるようになって来た。

 ただ、これらはイクラ美味しくても、イクラ[卵「筋子」をばらした塩漬]の醤油漬のような大衆化は難しいだろう。
 などと考えるのは、商品に人気がないだけの話かもしれない。「メフン」洗浄機(5)で臓物を洗い落とす時代であり、上手く腎臓だけを選別すれば、珍味も簡単に大量生産できる筈だからだ。

 なにせ、イクラにしても、缶で運ぶことができるようになって、暫くしてからようやく一般化したらしい。(6)昭和初期のことである。イクラの良さは、塩漬に見えない点にあると思う。新鮮さを感じさせるのだから、たいした技術である。(7)
 
 どうあれ、鮭は捨てるところがない。

 伝統食とは、その地方の息吹を伝えるものだと思う。味と一緒に、その生活感を想像するところが、食文化の醍醐味といえよう。
 その観点からいえば、なんといっても、鮭料理の代表は、「石狩鍋」。
 昆布出汁に白味噌を加え、鮭の切身、豆腐、玉葱、長玉葱、キャベツ(白菜ではない)を入れる。あるいは、中落ちを使うなら、「つみれ汁」。
切り身ではなく、身を一気に使い切るつもりなら「ちゃんちゃん焼き」だ。
 さらに、ルイベ[刺身のサクの凍結品]も忘れてはなるまい。

 暑さも下火。そろそろ鮭料理にかかろう。

 --- 参照 ---
(1) http://www.niigata-nippo.co.jp/nie/kannou0212.html
(2) http://www.nichiro.co.jp/salmon/food/kako02.html
(3) http://www.nichiro.co.jp/salmon/food/kako03_02.html
(4) http://www.zengyoren.or.jp/sea_fish/furusato/pdf/gyosyoku_094.pdf
(5) http://www.tsunezawa.co.jp/51sakeme.htm
(6) http://www.nichiro.co.jp/salmon/food/kako05.html#a01
(7) http://www.nichiro.co.jp/salmon/food/kako05.html#a01
 

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