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魚の話 2007年8月24日 |
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のり の話…海苔あぶる 手もとも袖も 美しき 瀧井孝作 “よくぞ日本に生まれけり”(1)の美意識もなくなりつつあるが。 高級とされる海苔は、香りだけでなく、真っ黒で光沢がある。 スサビノリと呼ばれる紅藻の1種だ。 板海苔になるのは、もともとはアサクサノリだったが、養殖用に使うことはない。十六島海苔もあるそうだが、希少性で時々登場する位のようだ。 流石に、最近は浅草海苔の名称は使わなくなったようだ。 → 「アサクサノリの問題」 (2004年3月24日) 真っ黒で光沢があるものが喜ばれるのは、見栄えだけではない。たまに外れることもあるが、香りがあって、風味豊かなことが多い。 もっとも、そんなことより、小穴がほとんど無い海苔が全盛なのが気になる。おそらく、おむすび需要に応えているのだろうが、味がよくなるものでもないだろう。残念至極。 経験論だから当たっているかわからないが、高額品が美味しいとは限らないようだ。価格は包装や店の装飾の影響が大きいのだろう。 ・・・と感じている人は多い筈。そんな声に対応しているのが、「海苔成分計」(2)。旨みと水分を測って商品に表示する動きもある。 ところで、色が「黒」というのは、補色関係の色素がバランスよく入っているということ。光合成色素としては、陸上植物が持っている葉緑素[クロロフィル]、カロチノイド、フィコビリンの3種類があるが、海苔はすべて持っているそうだ。(3) ・緑色のクロロフィル ・黄色のカロチノイド(キサントフィル) ・緑色光を吸収するフィコビリン(青色のフィコシアニン、赤色のフィコエリスリン) 海苔を焼くと、蛋白熱変性でフィコビリンが発色性を失うから、海苔の色が変わる。この時、アミノ酸も生まれ、これが旨み成分になるのだろう。 尚、クロロフィルは熱には比較的強いが、水溶性だ。酸性になると褐色物質に変質する性質がある。(フェオフィチン化)これが、湿気った海苔が赤紫色になる原因である。こうなってしまえば、佃煮にするしかなくなる。 ところで、養殖場で年中発生している海苔の「色落ち」とは、こうした色素を十分作れないということだ。海水の窒素分不足からだという。 珪藻が多量に発生し、窒素分がとられてしまい、発生するようだ。(4) 海に窒素分を入れ、無理に色落ち防止を図ったりしなければよいが。 --- 参照 --- (1) http://zouhai.com/cgi-bin/g_disp.cgi?ids=20050218,20050217,20050216&tit=20050218&today= 20050218&tit2=2005%E5%B9%B42%E6%9C%8818%E6%97%A5%E3%81%AE (2) 横浜康継: 「カラフルな海藻は語る」 http://www.biol.tsukuba.ac.jp/tjb/Vol3No10/TJB200410YY.html 園池公毅: 「光合成の入門・解説ページ」 http://133.11.37.221/users/sonoike/photosyn.htm (3) http://www.r-e-tec.co.jp/01products/nori.html (4) http://www.pref.ehime.jp/060nourinsuisan/210cyuyo-suisi/00007513051226/tayori/V13/13nori.pdf 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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