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魚の話 2008年2月8日 +追記 |
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ばい の話…私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ Jean Cocteau 堀口大学訳 巻貝の殻を耳に当てると、実際、響きが聞こえる。 従って、この訳詩の貝とはバイに違いない。 と言うのは、バイは漢字一字で、虫偏に貝と書くからである。バイ“貝”ではないのだ。もっとも、ほとんど使われない文字になってしまったようだが。 そうなったのは、バイではなく、ツブと呼ばれることが多くなったからだと思う。 こちらの漢字は“螺”。まさに、巻き貝の代表選手と言える文字だ。 詩は素敵だが、バイの実体は、海のハイエナ。 死んだ魚を籠に入れると取れるからだ。そんな話を知ると、嫌いになる人もいるかも知れないが。 海岸の食事処に入ったりすると、茹でただけの小さなバイが無料の付き出しとして供されることがある。それほど美味しいものでもないと思うが、それではビールでも、ということになりがち。なかなか上手な商法である。 ところで、バイは日本独特の貝とか聞いたことがあるが、現在はほとんど輸入モノだそうである。 “泡ほおずき”の名前が残っているのだから、そこらじゅうで採れたはずだが、棲むところがなくなってしまったようだ。小さな貝を食べさせたりするのだから、海底の貝を根こそぎ採っていそうだから、そうなって当然だろう。 → 「あかにし 」 (2006年5月5日) 同じように産地が次々と移っているようで、台湾バイ/香港バイ→ベトナムバイ→セイロンバイ/ベンガルバイと、今はインド洋産が主流のようだ。 もっとも、国産の大きな“マツブ”もあるようだが、貴重品扱いらしい。 港を訪れると、串刺しした剥き身を、焼いたり、おでんにして売っていることが多いが、輸入冷凍品だと思われる。 生の本物を鱈腹食べたいなら、バイ好きと言われる日本海側に行くとよいらしい。 刺身にして食べる人も多いようだ。 有名なのは、“越中バイ”らしいが、この身は柔らかいから、屋台モノに向いているようだ。もちろん、剥いたりせず、殻ごと加熱する。 塩茹の場合は、楊枝で上手く出すスキルが必要なようだ。一方、焼きツブは、唇を火傷せずに、殻のなかに残る液体をこぼさず飲みほすコツが要求されるとか。 日本海側には、巻貝が好き人口が相当多そうだ。 それに対して、太平洋側はどうも、煮貝にこだわりがあるようだ。新鮮なものが入手できなかったせいか。それとも、ふっくら(福良)煮などと称して、縁起をかつぐのが好きだっただけかも知れない。 --- 参照 --- (詩) 堀口大学(訳): 「月下の一群」 “耳” 1925年 http://uraaozora.jpn.org/pogekka.html (貝のアイコン) (C) S.S.S. Superman 史上最強の潮干狩り超人 http://mirabeau.cool.ne.jp/shiohigari/index.html 〜 追記 2008年2月11日 〜 【山口正士 先生から2月8日に頂戴したコメントより】・・・TBTの水産物への影響についてのご指摘 [お送り頂いた“まとめ” ] → 「環境ホルモンと貝類 貝類の減少に環境ホルモンが関与しているか 」 [PDFファイル] [基本認識] ・バイの卵塊が消えたのは水質汚染問題が主要因だったと思われます。 ・国産のバイ資源の消滅には有機スズ汚染によるインポセックスが深く関与していたと思われます。 ・現在はこの汚染から抜けつつある はずですが、バイが回復しているかどうか、調べてみないとわかりません。 [沖縄/東南アジアの状況について] ・沖縄にはウスイロバイという種が生息していたので、地元の水産関係者が 一時興味を持っていましたが、 それも消えたようでした。 ・東南アジアに多くの近縁種がいるのはハマグリ類と同様です。 [参考専門図書(バイ消滅の項あり)] ・里見至弘, 清水誠(編): 「有機スズ汚染と水生生物影響」 恒星社厚生閣 1992年, (174頁) 【Blog】 → 「beachmollusc ひむかのハマグリ 」 “海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです” 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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