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魚の話 2008年6月13日 |
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あつもりうお の話…乱世の あわれを誘う 波の音 冷たい北の海。 毎年、その底から、立派な鎧を着けた敦盛魚が岸にあがってくるそうだ。 この情景が、うら寂しい須磨の海を想起させたのだろうか。 以前、怪魚「八角」の話を書いたが、この正式名称は「特鰭」。 → 「はっかく 」 (2007年12月14日) 小生は「八角」という名前が好きだが、好き勝手に決める訳にはいかない。 当然ながら、名前を決めるルール(1)がある。その先頭を切ったのが土佐の魚類学者、田中茂穂博士。(2) しかし、一般的なルールはあるにしても、博士の好みが反映しない訳もなかろう。などと考えてしまったのは、トクビレの仲間を眺めてみたからだ。 大きくはカサゴの系統だが、トクビレ科が設定されており、ここに分類される魚の名前がなんとまあ。 知床に生息するトクビレ科の魚を見たのだが。(3) 先ず、トクビレの名前がついているのがトクビレ、サメトクビレ、チシマトクビレ、ヤセトクビレ、サイトクビレ。この辺りは当然の展開か。 トンガリシャチウオ、オニシャチウオ、カムトサチウオやイヌゴチというのも、どんな魚か知らないが、ありそうな感じ。 う〜む。 実は、これですまない。 結構知られているとんでもない名前が2つあるのだ。 そう、ご想像の通り、赤黒系で華やかなアツモリウオと黒茶色で地味なクマガイウオのこと。 前者は、1817年、幕府に怪魚として出品されたそうだが、名前は「龍宮の鶏」である。(4)こちらの方が、姿を言い当てている感じがするが。 しかし、それでは面白くなかったのだろう。蟹の、弁慶v.s.平家のように、どうしても源平合戦から名前を頂戴したかったに違いあるまい。 そして、功を狙う荒くれ武者と、美しい鎧武者姿の公家タイプの若者の対比を思いついた。若いにもかかわらず、その気品と風格に、関東武士が圧倒された、一の谷でのシーンがふと過ぎった訳だ。 まさに、乱世無情というか、無常。 → 「平家物語 巻九 敦盛最期 」 [現代語訳] (C) 風の音 ちなみに、両者ともに、トクビレとは異なり食用にはならないようだ。それに、やたら大人しい。というか、水族館の水槽ではほとんど動かない。 さらに驚いたのは、クマガイジロウの弟、サブロウもいるという点。 そうなると、シチロウも関係者なのだろうか。 探しても、“七郎兵衛殿”位しか見つからないが。(5) --- 参照 --- (1) 標準和名 http://fishing-forum.org/zukan/sanhtml/Y000154.htm (2) http://www.kochi-u.ac.jp/w3museum/Fish_Labo/Ichthyologist/index.html (3) 「知床に生息する動植物−魚類」 北海道新聞 http://www5.hokkaido-np.co.jp/shiretoko/data/09.shtml (4) 磯野直秀: 「珍禽異獣奇魚の古記録」 Hiyoshi Review of Nature Sci.(慶応大) [2005年] http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=10513 (5) 「源平盛衰記」巻第三十七 平家開城戸口並源平侍合戦事 http://etext.lib.virginia.edu/japanese/texts/AnoGpjs/f-horizontal37-2.html (平敦盛の絵) [Wikipedia] 菊池容斎・画 Taira no Atsumori.jpg http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Taira_no_Atsumori.jpg 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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