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魚の話 2008年7月11日 |
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ひおうぎ貝の話…ぬばたまの 夜は更けぬらし 扇貝 階段窓に 月かたぶきぬ [解題] お酒をいただき、時間を忘れ、美しい扇貝を見ていた。 ふと空を見上げると、夜も更けていることに気付いた。 [注] “ぬばたま”は植物のヒオウギの実。「夜」の枕言葉。 [元歌] 大伴家での宴会で、部下の土師道良が歌った。 万葉集十七巻3955 ←イラスト by 妙の宴 >>> (C) IRIS 赤、黄、橙、紫、と貝殻にアクリル絵の具で彩色したのではないかと思う位に色鮮やかなのが桧扇貝。秀逸な命名である。 土産物店でよく目にする貝だ。 形から見て、帆立貝や板屋貝の仲間ということはすぐにわかるが、あまりに美しく、食用なのか疑っていた。 → 「ほたて貝」 (2006年12月8日) 調べて見ると、結構古くから様々な県で養殖の取り組みが行われていたようだ。技術的には完成しているようだが、大きなビジネスにするのは難しいようである。(1) 自家汚染負荷の少なさでは優れてはいるが、安価なホタテと競争するのは並大抵なことではないからだ。 それなら、かえって離島の方が、話題性があってよさそうではないかと思ったら、隠岐で熱心に進めているようだ。 「貝の養殖を始めたのは、昭和55年からだね。当初はイタヤガイを養殖していたが、その後水温が高くなってきて、イタヤガイの成長が悪くなってしまった。そこで昭和60年にヒオウギガイに変えたところ、隠岐の海がこの貝に合っていたんだろうね、よく育ちよるよ」 (2) そういえば、この板屋貝、鳥取の海でむやみに採れたことで有名だが、乾燥させて中国に輸出していたようである。(3)100年前の話だが、食の好みはそうそう変わらないだろうし、扇貝という名前の方が素敵だから、こちらに人気が集まってもよさそうだと思うが、そうはいかないのだろうか。 --- 参照 --- (1) 鹿児島県水産技術のあゆみ[3編1章海面増殖3貝類4節ひおうぎ養殖] 鹿児島県水産技術センター http://kagoshima.suigi.jp/ayumi/book/03/a03_03_03_04.pdf (2) 浜の四季 隠岐のヒオウギガイ http://www.jf-net.ne.jp/jf-net/column/shiki2004/16-11hiougi/hiougi_01.html (3) 鳥取県農商課: 「板屋貝ニ関スル注意」[1890年] 国立国会図書館近代デジタルライブラリー http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=40063798&VOL_NUM=00000&KOMA=1&ITYPE=0 (万葉集) Rector and Visitors of the University of Virginia http://etext.lib.virginia.edu/japanese/manyoshu/AnoMany.html (扇のイラスト) (C) IRIS 妙の宴 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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