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魚の話 2008年8月8日 |
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いそがにの話…磯岩に 座して海空 見ていれば 蟹あつまりて 吾を見ている (作者: 馬目弘平) 確かに、磯でボケーと座っていると、何をするでもなく、蟹が沢山でてきたりする。 足のそばまで来ていたりすることも。冒険心旺盛な輩もいるのだろう。 考えてみれば、不思議な習性である。 夏といえば、海辺で遊ぶ季節であるということで、浜での蟹遊びを思いだしてしまった。 → 「すながに」 (2008年8月1日) しかし、残念ながら、都会近くにある浜は、体験学習用の人工砂浜や、日焼けサロンと砂浜スポーツ競技場を兼ねた遊泳施設の雰囲気が漂う。 しかも、だいたいは大混雑らしい。まあ、首都圏は人口3,000万だから当然なのだが。 だが、これでは、とてものんびり遊ぶ気分にはならない。 と言って、南の島ツアーの繁忙期料金は普段の倍額。そうまでして行く気にもなれない。 となると、海辺遊びは、磯にならざるを得まい。 それに、こちらは、まだまだ手付かずの感じも残っている。砂浜に比べ、土木工事の名目が立てにくいし、観光客にお金を落としてもらうお店を開く余地も少ないということかも。 まあ、知恵者はいるから、それもいつまで持つかはわからないが。 特に心配なのは、蟹の数が少なくなりつつある点。昔は、そこらじゅうで蠢いていた覚えがあるのだが。 もしかすると、蟹を沢山獲って帰る人がいるのではないかと考えてしまうほどだ。 そこで、昔を思い出して、本の写真を眺めながら、整理してみることにした。相当昔、大洗辺りの蟹を売っている店で得た知識以上は無いから、間違いもあろうが、お読み頂けば、磯の蟹の全体像がわかり易くなるのではないか。
磯の場所によって、種は違うらしいが、大きさはせいぜいのところ3cm強。なかでも強そうで元気があるのがいたら、それは“磯蟹”ではなく、“岩蟹”かも。 岩の上で動くこれらの蟹は、食用といっても、味噌汁の出汁。磯の近辺で食べるならお勧めだが、持って帰って味わうようなものではなかろう。 それに、浜の蟹とは違い、家で飼うには余りに環境が違いすぎる。それなりの準備が必要だろう。こんな蟹をバケツで山盛りに獲るなどどうかしている。 磯で、まともに食用にできるのは、もう少し大きなもの。蟹籠で獲る、脚が長い“ショウジンガニ(精進蟹)”だ。 ただ食用と言っても、魚屋さんに普段並んでいる蟹ほど食べるところがある訳ではないが。外海の波がかぶる磯や堤防の海中にいるらしいが、残念ながら、小生は見かけたことがない。動きが素早そうだから、鈍いヒトは存在に気付かないのだろうか。 尚、本気で食べるつもりなら、大き目のガザミ系統。海底にいるから、磯遊びではお目にかかれない。ただ、よく似た類の蟹が、浅いところの岩の割れ目に棲んでいる。 これが、“石蟹”一族である。 殻が硬くて身がほとんどないが、それだからこそ良いという人もいる。 そういう人は、蟹釣りを楽しんでいる筈。凝った専用の道具まで売られているから、蟹釣り人口も少なくないかも。 この釣り人は、蛸と争うことになるので、タイコウボウではなく、タコボウと呼ばれているとか。 昔は、この系統の蟹もタイドプールにいたりしたが、今は、見かけないそうだ。と言うより、蟹釣り人口が増えているから、すでに捕獲後ということかも。 ただ、この手の蟹は、ヒトの手が届きそうにない水中杭やブイの辺りで動いていたりする。そんな場所で餌があるのか心配になるが、釣り人からは逃れることができる。 尚、上海蟹は「中国藻屑蟹」だそうで、日本にいる藻屑蟹も食用になるが、水中でじっとしている蟹だそうだから、たまに遊びにいく時に見つけるのは至難の業だろう。 --- 参照 --- (参考にした本) 阿部正之: 「海辺をまるごと楽しもう! 海辺の生物観察図鑑」 誠文堂新光社 2008年5月 (和歌の出典) 小田原利光: 「蟹に関する和歌, 俳句及び古川柳について」日本甲殻類学会誌CANCER 1 33-39 (1991) http://nels.nii.ac.jp/els/110002950353.pdf?id=ART0003305326&type=pdf&lang=jp&host =cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1211945805&cp= (磯の写真) (C) photolibrary “25476 男鹿半島・夏の磯” http://www.photolibrary.jp/ 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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