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魚の話 2009年10月30日 |
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しただみの話…潮溜り 一面覆うは 石畳 タイドプールに生物が群れていた時代を想って ←Photo by (C) 2000ピクセル以上のフリー写真素材集 岩場の小さい巻貝が“しただみ[小螺]”と呼ばれていたらしい。(1)コシタカガンガラやイシダタミにあたるそうだ。 要するに、“しったか”の仲間で、そこまでの大きさにならない種全般を指していたのだろう。 → 「しったか」 (20080905) 岩場なら、一番多いのは、なんといってもイシダタミ。小さなヤドカリが入っていることも多いが。結構、模様が美しい貝だ。 2cm足らずと小さいく、“磯で遊ぶ子供以外には見向きもされない”(2)のが特徴かな。 食べるとすれば、せいぜいが味噌汁の具とか。小生も高校生の時に食べたが、美味しいものではなかった。 もっとも、“ビールのツマミには絶好”(3)という地域もあるから、なんともいえぬが。小さい貝だから、針で身を出すのだろうが、さざかし面倒なことだろう。貝好きでないと、とてもやってられまい。と言うか、貝好きが、食べ始めたら止められぬという手の食材という気もする。さほど関心が無い人はそれをただ眺める図が想像されるが。どんなものかな。 この貝を取り上げてみたのは、万葉集に食べ方が載っているので有名だからだ。能登の机島で詠われたのだが、・・・ 鹿島嶺の 机の島の しただみを い拾ひ持ち来て 石もち つつき破り 早川に 洗ひ濯ぎ 辛塩に こごと揉み 高坏に盛り 机に立てて 母にあへつや 目豆児の刀自 父にあへつや 身女児の刀自 [万葉集巻十六-3880] 一体、何を表現したいのかさっぱりわからない、不思議な歌である。 鹿島辺りの海の風景を取り上げたかったようにも思えないし、特産の貝でもない。貝殻を壊して生で食べるのが珍しい訳でもない。親へのご馳走として意味があるとも考えにくい。 ただ、結構美味しい料理なのかも。岩に付着する藻を食べている貝だから、生ならサザエの刺身のコリコリ感を強調したものかも。 ただ、大伴家持気分で考えると、味わいがある。越への旅の途中で、必ず通ることになる能登の島には山のように小螺がとれ、それが“気分”。 旨いので嬉しい反面、感傷的になったりする。 都にいた頃は、ご馳走と言えば干鮑だった。ここでは生だ。神にお供えするものではないが、大切な両親にご馳走する位の価値はあるな。・・・といったところか。素人の邪推にすぎぬが。 イシダタミは漁港の堤防のようなところでも見かけた覚えがあるが、最近はさっぱり見かけない。せいぜいが、船を引き上げるコンクリート敷きの「浜」で、小さな巻貝に入った宿借り君が、割れ目の水溜りで三々五々蠢いている位。 --- 参照 --- (1) 「しただみ 【〈小羸子〉/〈細螺〉】」 大辞林 第二版-goo辞書 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/83973/m0u/%E3%81%97%E3%81%9F/ (2) 「イシダタミ」 ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑 http://www.zukan-bouz.com/makigai/kofukusoku/nisikiuzugai/isidatami.html (3) 「シタナミ 万葉の時代から食す」 秋田魁新報 [1999.8.20] http://www.pref.akita.jp/akisuise/umi/umi_08.html (万葉集の出典) http://etext.lib.virginia.edu/japanese/manyoshu/Man16Yo.html#3880 (金城町の石畳道の写真) (C) 2004-2009 2000ピクセル以上のフリー写真素材集 http://sozai-free.com/index.html 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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