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魚の話  2017年10月20日

くろゆりはぜ の話

 黒百合に 秘めたる想い すべて籠め
   悲恋の命名ストーリーを創ったら人気爆発かも。

黒百合/Chocolate Lilyは黒紫色の花を咲かせる高山植物。
鰭が黒っぽい色だから、開いた状態だと似ているということで名付けたようだが、身体自体は細身でペンシルロケットの如し。すばしこく遊泳しているから、英語圏だとダーツ似となる。海の底で静かにしているか、底でせわしない動きをする、一般のハゼのイメージとはかけ離れている。

  黒百合鯊/Blackfin dartfish

しかし、泳いでいる実物をよくよく眺めていると、命名感覚はわからぬでもないという気持ちになる。写真はある一瞬をとらえているだけだが、実物はよく動き回るから、光の加減で微妙な色合いが出現する。鰭の厚み加減が微妙な色調を生み出すのである。しかも、群泳体質。
一瞬お花畑感覚が呼び起こされ、それを愛でたくなった方による命名だと思われる。

要するに、リーフを愉しげに泳ぎ回る美しい熱帯魚の一種ということ。ウエブに掲載されているおびただしい写真を見回すと、類縁も含め、体色の方はメタリックな薄い水色系に撮っていることが多く、アクアショップ向きの種と言えよう。

トロピカル感を大事にしたいなら、代表は、色彩が完璧なメタリックブルーの種にしてもらいたいところ。

  花鯊/Blue hana goby or Thread-tail dartfish

そうそう、この種はダテハゼ[→]&テッポウエビの共生関係に割り込むことでも知られている。
遊泳性であって、底棲ではないが、逃げ込む場所を欠く場所にいる場合、シエルターとして勝手に活用するらしい。群れから離れて勝手に生きていきたいから、"同じ穴のハゼ"にして頂けまいか、とお願いするのだろう。
ダテハゼ&テッポウエビの視点では、ただ割り込まれただけで、メリットが得られるとは思えないが、そんなことは気にかけないようである。エビ君が始終メンテを重ねていて十分広いから、どうぞどうそ、といったところか。ただ、ダテハゼ君にとってみれば、周囲監視の目が増えるとも言えそうだから、マ、いいかとのお気軽気分と見ることもできそう。その辺りの寛容度は個体差がありそうな気がするが。

広義のハゼ全体に入れ込むと、こんな感じになる。(素人作成なので、間違いが多いことを前提に眺めて頂きたく。)・・・

[Rhyacichthyidae]・・・古代的様相 ツバサハゼ類
[Odontobutidae] ドンコ類
[Eleotridae] カワアナゴ類

↑無吸盤(左右胸鰭分離型)の淡水棲息系

[Gobiidae]【ハゼの主流】
《Amblyopinae》・・・藁素坊、等が所属
《Gobiinae》・・・鬚鯊、等が所属
《Gobionellinae》・・・真鯊、等が所属
《Oxudercinae》・・・跳鯊、等が所属
《Sicydiinae》坊主鯊、等が所属

↓擬似ハゼ
[Schindleriidae]幼魚体型類
[Ptereleotridae]ダーツ体型類
│  ○Ptereleotris
│   黒百合鯊/K尾鰭塘鱧/Blackfin dartfish(evides)
│   筋黒鯊/縱帶鰭塘鱧/Lined dartfish(grammica)
│   花鯊/絲尾鰭塘鱧/Blue hana goby or Thread-tail dartfish(hanae)
│   尾黒黒百合鯊/尾斑鰭塘鱧/Blacktail goby(heteroptera)
│   糸満黒百合鯊/細鱗鰭塘鱧/Blue gudgeon(microlepis)
│   姫百合鯊/單鰭鰭塘鱧/Lyre-tail dartgoby(monoptera)
│   ゼブラ鯊/斑馬凹尾塘鱧/Chinese zebra goby(zebra)
│  ○Parioglossus
│  ○Aioliops
│  ○Navigobius
│  ○Nemateleotris
│  ○Oxymetopon
│  ○Pterocerdale
│  ○Zagadkogobius

↓以下略
(分類参照) JODC(日本海洋データセンター)GODAC/JAMSTEC

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