表紙 目次 | 魚の話 2018年1月28日 まさごはぜ の話⏳ 渡つ海の 浜の真砂を 数へつつ君が千歳の 有り数にせむ [古今和歌集第七巻賀歌#344 題知らず 詠み人知らず] 砂鯊はダーツ型の細身であり、砂潜りがお得意でチンアナゴ的としたが[→やなぎはぜ]、それとは縁遠いが「砂」の名称がつく小魚をとりあげておこう。 真砂鯊 砂子鯊 <熱帯域棲分志向>の群れる小魚群は、ハゼ族の本流。その"群れる小魚"という点ではよく似ているが、こちらは傍系。 真砂も砂子も、ともに浅い汽水の内湾河口に棲息してるとされている。熱帯マングローブの林に沿って川を遡って分布を広げていた類と似た、<北方淡水進出志向>タイプということだろう。 そう考えると、真砂との命名はなかなかに優れた表現である。 砂色とか砂底に力点がある訳ではない用語であることがすぐにわかるからだ。砂粒のように無数という意味を強調したかったに違いないのである。 それこそ、ちょっとした水溜りのような場所であるにもかかわらず、そこにワンサカと群れており、近寄ると一斉に底に隠れるような魚ということだろう。 つまり、ペアを形成したら膨大な数の卵を産卵し、そこで命が尽きていくという一生を送るということ。産卵場所の条件がよければ、沢山の親魚が一挙に出現するのである。一方、条件が悪いと翌年はすべて消滅というドラスティックな生き方を追求してきた訳だ。 はたして、この先も、そんな営みを続けていくことができるだろうか。 今から環境を整備したところで、この手の習性だとすれば、絶滅可能性は極めて高そう。 真砂は尽きることになるのかも。 尚、縞がついた砂子鯊としか思えない類縁種が存在するが、こちらは、特徴的な名前がつけられている。 歌舞伎鯊 河口域で発見されるようだが、汽水と言うより淡水志向かも。 【真鯊、等が所属する《Gobionellinae》グループ】 → 「はぜ 全体像」 ○Pseudogobius・・・スナゴハゼ類 真砂鯊/小口擬鰕虎魚(masago) 砂子鯊/爪哇擬鰕虎魚(javanicus) -/天鵝擬鰕虎魚/Bluespot goby(olorum) Northern fatnose goby(poicilosoma) -/大眼擬鰕虎魚(avicennia) -/等頜擬鰕虎魚(isognathus) (fulvicaudus) (lumbantobing) (melanostictus) (taijiangensis) ○Eugnathogobius/Calamiana・・・カブキハゼ類 歌舞伎鯊/Stripe-face Calamiana(mindora)@沖縄 (illota)@マラッカ海峡〜フィリピン Ocellate Calamiana(polylepis)@豪州北沿岸 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |