表紙 目次 | ■■■ 2015年4月27日 ■■■ 笠貝類と偽笠貝類…春の磯 危険な道を ご出勤 焦ってこけたら 命取り 傘がおちょこになったらお陀仏。 従って、そのデザインには徹底的に凝る。 岩に付着というか固着している目立つ生物といえば、外殻が貝殻的な「富士壺/Acorn barnacle」「亀の手/Japanese goose barnacle」「烏帽子貝/Pelagic goosneck barnacle」が典型。すべて甲殻類である。 目立たないが、多板類の「膝皿貝 or 火皿貝/Chiton/石鳘」も沢山いることが多い。こちらは固着的に見えるだけで、移動するそうだそうだが。 こんな連中だらけだと、どうせなら、「鮑,鰒 or 蚫/Abalone/鮑魚 or 九孔螺」がいれば良いのにとツイツイ思ってしまう。ただ、じっくり探すと「床臥 or 常節/Small abalone/-」の小さなのが見つかることはある。まあ、これらの貝は、商品性が高いから滅多に出会うことはなかろう。 しかして、「笠貝/Limpet/笠螺」の仲間に注目することになる。色々な場所にへばりついているし、タイドプールにも貝殻が落ちているからだ。 形状は、まさに陣笠。これほどわかり易い命名はなかろう。[→2009年5月15日] ただ、図鑑には「巻貝」とされているので、素人は大いにとまどうことになる。どこにも螺旋を感じさせるものが見当たらないし、それを否定するかのように、傘の骨のような放射状直線の筋がはっきりとついているからだ。 残念ながら、どうして、このような殻になるのかという説明はみつからない。 それより、図鑑で気付くのは、この手の貝は全く異なる2種が存在しているという点。 まあ、普通に見るのは、「笠貝/Limpet/笠螺」系である。 ■"真正"笠貝■ ○蔦葉貝/"True"/星笠螺 ○-/"Common" European/歐洲帽貝・・・可食 ○松葉貝 or 牛の爪/-/松叶笠螺 ○嫁ヶ笠/-/- ○鵜足/-/- ○鴨貝/-/- ○鼈甲笠/-/龜甲笠螺 ○-/-/斗笠螺 ○-/-/車輪笠螺 巻貝ということでは仲間ではあるが、これら一族とは体躯構造が全く異なる種類が存在するのである。 筋が目立つので、鵜足の印象に近いものが多いようだ。貝殻からだと、見分けがつかぬ。と言っても、よくよく見ると楕円であるから、違うと言われればそうかナとはなる。 されば、どこが違うかと言えば、干潮時に活発に動く点。肺呼吸しているから、そんなことが可能なのである。 ■"偽"笠貝類■【有肺】 ○落葉松貝/Japanese siphon shell ○平落葉松貝 ○白落葉松貝 ○菊の花貝 肺は無いし、笠貝でもよさそうに見えるが、一寸違うという一族も存在する。 ■"類似"笠貝類■【重層】 ○風鈴千鳥,皺風鈴千鳥,縮緬風鈴千鳥 ○重風鈴千鳥・・・皿重ね型の殻 両者共に、笠の下と珊瑚の礫を完全に固着させるタイプのようだ。つまり台座付貝殻なのである。 ○皮千鳥・・・川ではないと見た。 岩に付着するのだろうか。パイ皮重層殻になるタイプ。 ○雀貝,菊雀 鮑の孔(肛門)の側に貼りついて糞食するタイプとか。殻の表面には毛羽がつく。藻類でなく自前の皮。そうなると、色的に千鳥では具合が悪いのだろう。毛付の貝殻が拾えることは稀なので出会うことは難しそう。獲り立て鮑をもらうと、出会えるのかも知れない。 実は、この他にアクセサリーの傘をつけている生物がいる。そう、ウミウシの一種。名前は「貝」である。 ■極小傘殻付海牛類■ ○陣笠単衣貝【傘殻】 残っているといっても、「傘」と言うよりは、たまたま落ちている貝殻片がくっついていると見間違う程度のものもいる。形も「笠」といえばそうなるが余りに小さい。 目を凝らして探すと点のような貝型の名残りがあったりして。名前はいかにも珍しそうだったりするが、その手のウミウシはそこらじゅうにいるという話もある。 ○亀の子節鰓貝,酸漿節鰓貝【側鰓】 巻貝が、浮遊生活に向くように重い貝殻を捨てたのがウミウシということなのだろう。 などと考えているなら、笠貝に似ているが、貝殻を発生させた頃の生物を彷彿させる種も触れておかねばなるまい。学者が何年もの苦闘を経てようやく発見した手の貝である。巻貝でもなければ、二枚貝でもなく、正真正銘の一枚貝なのである。 今迄は、それは、深海底棲の「生きている化石」ネオピリナとされており、日本から程遠い海のお話だけだったのだが、志摩半島沖で発見されたのである。全長僅か3.5mm。 ■"原始殻"笠貝類■【単板】 〇勢水貝・・・発見の幸運をもたらしてくれた船名。 (傘のイラスト) (C) Cafepuff Design http://cafepuffsozai.blog.shinobi.jp/ 「軟体類」の目次へ>>> 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2015 RandDManagement.com |