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■■■ 2015年4月28日 ■■■

穴明笠貝類…

 
 我が物と 思えば 軽し笠の殻
  アナ恥ずかしや 覗き穴

  重くて丈夫な殻を嫌う一族もいそう。
  そんな貝はきっと美しいに違いない。


天辺に穴が開いている傘がある筈は無いが、空気を通すための穴明き笠は存在する。
貝にも、そんなボディプランで生きている種が存在する。穴明きの笠貝[→笠貝類と偽笠貝類]ということになる。
分類名称は「透[スカシ]貝/Keyhole limpet」。

スリットと言うか、楔型の穴をわざわざ開けるとは思えないから、貝殻を拾っても、小さいこともあるが、ナンダ壊れているのかと思ってしまいがちで、捨ててしまう。ところが、コレもともとあった穴である。そんな話を聞いたことが無いのは、余り興味を持たれない一族ということなのだろうか。
もっとも、貝屋でなくても、図鑑を見る人は知っていたりする。たいてい、最初のほうのページにカサガイとご一緒に登場するからだ。名前は忘れてしまうが、この手の貝の存在だけは覚えているもの。
まあ、見かけないのは、行った浜辺りの海にはほとんど棲息していないということだろう。そうでなければ、汁にして食べられた後の貝殻が打ち上げられてもよさそうなものだから。

生きている姿は写真でしか見たことがないが、ナメクジが笠を被っているようなもの。ただ、笠と言っても丸形ではなく、長方形の角を丸くしたような形や楕円形で、天頂は片寄っている。
小生だと、穴笠貝と呼んでしまうが、そのような情緒を欠く名前は嫌われたようだ。
  透貝,平透貝
  窓開貝/-/長窗透孔螺
殻に筋がなく、のっぺりしていると、立派な名称に。従って、2.虚無僧の深編み笠ではなく、仏様の上方の覆い。もともとは日傘であり、古代絵画にも貴人の存在を示すものだった。仏の徳がある貝だから、貝殻だけ眺めて決して獲るでないゾ!ということかネ。さすれば、格別旨い可能性もある。
  天蓋.緑天蓋,大穴天蓋
よくわからん名称も。屑屋さんの被り物みたいということではないのか。差別用語だったのかも。
  葛屋貝/-/-

ただ、穴が無くても、その代わりに切込みが入っている一族も。綺麗に切符切りで穴を開けたようなものから、なんとなく凹んでいるかな程度まで色々あるようだ。貝殻が欠けているように見える場合は、拾われることもなさそう。にもかかわらず、滅多に見かけないから、深海系が多いのかも。漁師が生きた貝を見つければ、お汁に入れてしまうだろうから、貝殻はゴミ捨て場行きで、浜辺に貝殻が来ることもなかろう。

小生だと、「穴無お面」としたくなる貝が有名らしい。名前が素敵だからだろう。切込みというより、ほぼ窪み。
  乙女笠/-/鴨嘴螺
はっきりした切込みがあるものは、そのように。
  切皿
  裾欠貝
  羽二重裾切

こうした穴が何故あるのか気になるが、呼吸用だとか。考えて見れば当たり前である。全面を覆えば息ができなくなる訳で。それが可能になるのは、それなりの体型と水の取り入れ機能部位が必要な筈で、それを欠くということで古代の貝に近いと見なされるのだろう。従って、図鑑の頭の方に来る訳だ。
小生は、古代型と見なせるのは防御が簡素なことと、遊泳可能という2点を満たすタイプではないかと覆うがどうなのだろう。
要するに、蛸船的に殻が薄いもの。そんな貝を拾えるとは思えないが。

そうそう、素敵な本があるようだ。実は、興味津々の貝なのだろう。・・・"The Loving Limpet and Other Peculiarities" by Simon Grindle 1964

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