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■■■ 2015年5月6日 ■■■

切口付巻貝類…




 手に入れた 翁恵比寿よ 福もってこい

    翁戎貝=Slit snail


真鶴町立遠藤貝類博物館:「The Shell 綺麗で希少な貝類コレクション303」いよいよ発売。

小生は、真鶴岬は何回となく足を運んだことはあるが、貝屋ではないので、遠藤晴雄コレクション拝見に訪れたことは無い。
貝殻を眺めているだけで、色々な思いが浮かんで来るから、見たい気持ちはあるのだが。
この博物館の目玉は、高価な貝殻が一同に会している点。
 翁恵比寿貝類:27種
 寶貝類:約80種
 芋貝類:約50種

特に、翁恵比寿貝はコレクター垂涎モノらしい。収集品は以下の通り。・・・
 翁恵比寿貝/Beyrich's slit snail/倍利翁戎螺 *
 紅翁恵比寿貝/The Emperor's or Hirase's slit snail/紅翁戎螺 *
 腰高翁恵比寿貝/Salmiana slit snail/高腰翁戎螺 *
 竜宮翁恵比寿貝/Rumphius's slit snail/龍宮翁戎螺 *
 曙翁恵比寿貝/Dawn slit snail
 アダンソン翁恵比寿貝/Adanson's slit snail/阿當嵩翁戎螺
  バミューダ翁恵比寿貝
 寺町翁恵比寿貝/寺町翁戎螺
 姫翁恵比寿貝
 姫茜翁恵比寿貝/Quoy's slit snail
  優姫翁恵比寿貝
 茜翁恵比寿貝/Lovely slit snail
 ミダース翁恵比寿貝/King Midas's slit snail
 アフリカ翁恵比寿貝/African slit snail/南非翁戎螺
 夕映え翁恵比寿貝/Pyramus slit snail
 大西洋翁恵比寿貝
 ブラジル翁恵比寿貝/Atlantic slit snail
 南蛮翁恵比寿貝
 宝石翁恵比寿貝/Jewel slit snail
 アンシュウ翁恵比寿貝
 後藤[芳央]翁恵比寿貝/後籐翁戎螺
 珊瑚海翁恵比寿貝
 ニューカレドニア翁恵比寿貝
 ブシェット翁恵比寿貝
 阿古屋翁恵比寿貝
 南の翁恵比寿貝
 ルカイヤ翁恵比寿貝/Lucayan slit snail

国内の対抗馬は鳥羽博物館。こちらは18種類だという。但し、希少品を所蔵しているので、マニアは惹きつけられる模様。
 [中野]誠人の翁恵比寿貝 [世界で4個]
 ゴコウ[河野剛]の翁恵比寿貝 [世界で12個]

都内といっても、熱海から1時間の地にある、大島町貝の博物館だと、伊豆・小笠原諸島海域棲息種限定だから5種である。(上記*)

鳥羽博物館によれば、現時点で31種(国内棲息確認は6種)が見つかっているそうだから、よくこれだけ集めたものである。
日本近海には、必ずと言ってよいほど変わった種が棲んでいるから、昔から貝殻集めは盛んだったのだろう。
と言うか、昔の方が盛んだった可能性もある。「貝類標本」はお土産として大人気だったのは間違いない訳で。
   "江の島の「貝廣」紹介頁"
そもそも、この貝が「発見」されたのが、お土産袋註の貝だったらしいし。
貝殻に切込みが入っている天が「珍」だったので、注目されたということ。

そうそう、郵便切手の図案も貝が結構目立った。この貝は4円切手。

それに、この貝が初めて文献に登場するのが、1843年らしいが、それは日本の出版物である。
ご存知「目八譜」。そもそも、本の題名がふるっている。どう見ても、「目+八=貝」と「傍目八目」を意味している訳で。

その巻之七の2番目に掲載されているのが西王母こと通称翁蛭子である。"石壽之容 戎介の如殻・・・形桃実に似たるを似て西王母と云 或は戎介老長たるを以て翁の名あり"との解説。

切込みがある貝は他にも。算盤玉のような形状で、大きさは数ミリ。拡大写真で見ると栄螺的。分類上の名称は、「口切れ戎貝」。
 口切れ戎貝/Little slit snails
 日本口切れ戎貝
 小菊口切れ戎貝
 穴開戎貝
 荒波穴開戎貝

ご想像がつくように、こうした"切口"は、穴明笠貝類 [→] こと「透[スカシ]貝/Keyhole limpet」と大同小異。つまり、極めて原始的な貝類とされる訳だ。従って、両者は図鑑の冒頭に登場することになる。当然ながら、高価な翁恵比寿貝の写真が最初に登場することになる。

[写真例:和歌山県立自然博物館(池辺進一貝類コレクション)]

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