表紙 目次 | ■■■ 2018年1月9日 ■■■ うみせみ …"かわせみ"も"やませみ"も鳥の翡翠を指す。川蝉と書くこともあるが、山蝉とすると昆虫とされたりする。一方、海蝉は蝉体形の小さな甲殻類。帆立貝の稚貝養殖を荒らし回る輩として知られている。 この海蝉だが、日本小粒虫をさしていることが多いようだ。 しかしながら、分類上は、この仲間は小粒虫、海蝉、潮虫という具合に分けているようだ。第4,5腹肢の内肢と外肢を見て、皺の有無で区別ができるとされているが、鳥羽水族館の方でも簡単に判別できるようなものではないらしい。 と言うことで、これらををとりあげよう。甲殻類のなかでも、狭い領域の生物に見えるが、種の数が少ない訳ではない。 (日本産生物種数調査によれば、既知47種、未知推定60種。) 熱帯から温帯が主な棲息地かと思いきや、そんなことはない。極地でも生きている種がおり、たいしたご発展のご様子。慶賀の至り。 パラドックスと言われている種がいるが、姿が三葉虫そっくり。マ、甲殻類とはそういうことがあっておかしくない動物だ。この種にも類縁は多く、深海底にも棲息種ありとのこと。 (参考) 蒲生重男:「日本南極観測隊によって採集されたセロリス科Serolidaeの等脚類(甲殻網,等脚目,有扇亜目)の4種類について」横浜国立大学理科紀要. 第二類, 生物学・地学 38, 1991 マ、極地には、様々な珍しい種が残存しているからそれほど驚くべきことでもない。 "Ceratoserolis meridionalis"がその類。 →[イラストポスター] "Amazing Diversity. Marine life of Antarctica - From the surface to the abyssal plain." (C)WoRMS しかし、そんな体形で、どんな生活スタイルで過ごしているのか気になるところである。 ただ、一般的には、珍しくはない生物群で、磯でもよく見かけるそうだ。但し、素早く泳いで逃げ去ってしまうことが多いとか。 代表格はなんといっても、「日本小粒虫」だが、なかなか気が強いようで鳴くという。身体を丸める行為を、殻同士の擦り音発生にかえて自己主張していると見える。 このうち潮虫だけは、北方漁民にはよく知られた存在である。大量発生するからで、網のなかに入ってこられるとどうにもならなく成る訳である。いくら小さい生物といっても、ザワザワと集まってきて身体一面を被う事態になれば、一大事である。弱った魚などひとたまりもなく、骨を残すだけに。そんなこともあって、水産新聞では、エビかご漁での被害状況を逐一報道しているから、今はその辺りが一番問題なのであろう。 ◆等脚Isopoda □小粒虫Sphaeromatidea (Sphaeromid isopod) (Sphaeromatoidea) -[化石]Archaeoniscidae -Sphaeromatidae ○Cymodoce・・・ニホンコツブムシ 日本小粒虫(japonica) ○Leptosphaeroma・・・ヒラタウミセミ 平田海蝉(gottschei) ○Sphaeroma・・・コツブムシ 四歯小粒虫(retrolaevis) 七歯小粒虫(sieboldii) 丸尾小粒虫(rotundicaudum) 岩掘小粒虫(wadai) ○Gnorimosphaeroma・・・イソコツブムシ 磯小粒虫(rayi) 姫小粒虫(pulchellum) 丸小粒虫(ovatum) 礼文小粒虫(rebunense) 阿寒小粒虫(akanense) 北陸小粒虫(hokurikuense) 式根小粒虫(shikinense) ○Dynoides・・・シリケンウミセミ 尻剣海蝉(artocanalis) 細溝海蝉(dentisinus) ○Holotelson・・・チビウミセミ チビ海蝉(tuberculatus) -Tecticipitidae ○Tecticeps・・・シオムシ 潮虫(glaber)@北海道沿岸 -Ancinidae ○Ancinus Flat pill bug(depressus) (Seroloidea) -Serolidae ○Ceratoserolis (meridionalis) ○Serolis (antarctica) 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |