表紙 目次 | 水母の話 2018年2月26日 ぎんかくらげ の話⛀ 宵越しの 銭は儚く 風で飛ぶ幹にくっ付いて機能分担をする群体である"管"クラゲの典型種[→馬簾水母]をとりあげた。 これと同じような群体構成だが、"管"を通じて振舞っていないタイプを眺めてみよう。 なんといっても名前が面白い。童話の主人公として出てきてもおかしくなさそう。その場合は海月としたい。 銀貨海母 クラゲなのでもちろん刺すから、こんな命名を不愉快に思う人もいるらしく、"牛乳瓶の蓋"とコケにするお方もいるようだが、今時、紙蓋の牛乳瓶などレア物であり早晩消える名称だと思われる。 要するに円盤体なのであり、直径4cm程度で白銀色だ。全面的に【気包体】で構成されているから海面に浮くことになる。そういう点では"牛乳瓶の蓋"の方が適切かも知れぬ。 ただ、紙のようにヤワではない。クラゲと聞かされればゼラチン質的姿と思ってしまうが、昆虫の外殻的な様相を示しているのだ。このため、浜に打ち上げられてもこの部分は残る。 クラゲだから当然の如く、円盤の全周に渡って、多数のクラゲ足が付いており、これを【感触体】と呼ぶらしい。それぞれに数10本の触手が附属しているから、腕ということになろう。色は南海の色的なブルー。英語圏では、この部分の鮮やかな色が目に跳び込むからBlue buttonと命名されたようだ。 この円盤の下方には大型【栄養体】が1個存在するが、別途、【感触体】の側らというか、触手に対応して数多くの小型が付いている。"管"クラゲとよく似た構成であるが、【生殖体】は不在。【栄養体】から"クラゲ芽"(幼クラゲ放出)が発芽することで増殖するからである。このため、それが特徴である"花"クラゲの仲間と見なされている。 ⛵ 荒れようが 天下無敵の マストマン 銀貨海母によく似ているのが、類縁種。 鰹の冠 名称が示唆するように、黒潮に乗って移動する種である。こちらも海表面に浮いているが、もちろんそんなことで知られる訳ではなく、潮に流されて浜に大量に打ち上げられ、あえ無い最期を迎えることで有名なのである。一度見ると忘れられないシーンであろう。 もちろん、日本から遠く離れたカリフォルニアでもそんな"事件"は発生することになる。ハワイ沖で遊んだり、太平洋横断したりの、大の旅好きとくる。 → "Thousands of Blue Sea Creatures Wash Up on Local California Beaches" By Riya Bhattacharjee (C) NBCUniversal Media 2014 (大容量) こちらは円盤と言うより厚い鍋蓋形状。但し、円形ではなく、サーフボートのような楕円形。 その中央側は無色透明で構造からくる輪状の模様がついており、それが気泡体なので、海表面に浮かぶことになる。 その部分が別途、空中に向けて発達しており、透明な三角形の帆を張っている。 尚、板はすべてが透明ではなく、板の縁辺にかけては群青色である。紺色ボートに薄青の透明な帆がついたプラスチック玩具のような生物が五万と打ち上げられれば誰だってビックリするヮ。 2015年の米国太平洋岸の砂浜漂着はなんと推定10億匹。規模はバラつくが大発生は繰り返されるのである。…The animals known as "by-the-wind sailors" stay out on the open ocean - until the winds change." [Jane J. Lee:"Pictures: Billions of Blue Jellyfish Wash Up on American Beaches" National Geographic 2015] 青い海の色であるから、いくら沢山浮かんでいてもおそらく誰も気づくまい。一種の擬態と言えよう。 銀貨の方はどうなのだろうか。飛沫が銀色に見えると考えるべきかも知れぬが、そんな色のものが沢山浮かんでいれば気付かれるが、摘まむと硬いのでゴミと勘違いして捨てられるのかも。 両者の知恵比べの様相。 それにしても、風の力で遠征する発想には驚かされる。陸上植物なら当たり前だが、海水中棲息なのに、そんなことにどうして気付いたのだろうか。 【刺胞動物/Cnidaria】 ┌花虫/Anthozoa…ポリプ型(珊瑚, 磯巾着) ┤ └Jellyfish/Medusozoa ヒドロ虫/Hydrozoa 【Leptolinae系】 ◆花水母([無鞘]Anthomedusae(=Athecatae or Stylasterinae) 《有頭 Capitata》…ヒドラ (Hydra)本流 -Porpitidae・・・"盤クラゲ" ○Porpita・・・ギンカクラゲ類 銀貨海母Blue button/(porpita) ○Velella・・・カツオノカンムリ類 鰹の冠/Little sail(velella) ○Porpema・・・存在しているのか不明瞭 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |