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水母の話  2018年3月27日

かみくらげ の話

 そこ退けョ 上にィ下にィ 満足ジャ
  大名行列では白毛と黒毛の一対の槍を上下させる。

ヒドラ虫花水母の種の多様性には呆れるほどだが、粘着珠がつく触手を持つ有頭系で、図鑑に必ず登場する手の種を見ると、その特徴の一つがわかってくる。
と言っても、素人の勝手な解釈だが。
  髪水母

名称の記載はカタカナにせよということだが、そんな名前がズラズラ並ぶと読めたものではなく、全体をざっと見渡すこともできないので、間違っていようが漢字に直す。
しかし、どの漢字を用いるか考えてしまう場合も少なくない。その典型がこの種。

カミが"紙"の訳が無かろうし、被害の話は無いから"噛み"でもささそう。写真の印象からすれば、触手を外せば円筒形でしかなく特別な形でもないから、"神"とか"守"でもなかろう。矢鱈に細い触手だが、モシャモシャしておりモズクのよう。"髪"かネ〜、となる。
但し、これは小生の感覚での話で、どの解説もまさに"髪"のようとばかりとなっている。

よく見れば、この"髪"、結って8つの束になっているではないか。パンク的な髪形と言わざるをえまい。

どうでもよさそうなことだが、そんなことを考えていて、どのような生態なのか見えてきたのである。

それはおいておいて、どんな姿か確認しておこう。

傘径は5cmを越えた程度だが、10cmc近くに達することもあるらしい。微小体だらけの花水母に所属していながら、ずいぶんと大きい。
そして、目に跳び込んでくるのは、眼点である。写真だから、写し方で変わるが、姉妹種の太平洋岸北方に棲む小さい方がわかりやすいかも。
  北髪水母
傘径約5cmで、8束の触手が出ている傘縁箇所に赤色の眼点。こちらはモジャ感が薄いので、"髪"と言われれば、まあそんなところかと納得するのだが。但し、髷と切られたザンバラ。
参勤交代的に東京湾内にも群れで押し寄せてくるとの話もあり、珍しい種ではないようだ。
この眼点だが、ヒドラ虫花水母に属する種は皆もっていると。マ、他のクラゲも持っているだろうが。写真を見ればわかるように矢鱈に目立つのである。従って、目が無いクラゲにも視覚ありという説明によく使われるのである。但し、その役割については何も書いていないが。
ともあれ、髪水母の眼点は赤い色であるから目立つ。

なんだ、ダラダラと書きなぐってと言われそうだが、こんな風に思考がバラケてくると、突如としてなにかが見えてきたりするもの。

先ず名前だが、刷毛水母としたくなった。餌を刷毛的に収集することに長けた奴と見たのである。当たり前と言えば当たり前の話ではないが、どのように刷毛を動かすかである。
ここで眼点が活躍するのである。餌を見つける能力は無く、せいぜいが明るさしかわからないのだが、その機能だけで必要十分。刷毛を上下に動かすことで餌を触手にくっ付けるのである。これも当たり前の話。

つまり、拍動を弱めることで、水より比重が若干大きい体躯を、水の動きに合わせて身体を平衡に保たないようブラブラさせながら沈降する訳だ。刷毛を横に動かしながら、下にもっていくことで、動物性プランクトンを毛に付着させて集めていくことになる。だが、どこまでも底に墜ちていったのではこまる訳で、一定の暗さに達したと感じた瞬間、一気に強烈な拍動を開始して餌を胃腔に放り込みながら、適度な明るさの深度まで一気に浮上。
黒潮と親潮が混じりプランクトンが豊富な領域近くで、飽きもせず、"上に下に"運動の繰り返しで成長するということ。

"ポリプ体"は未発見のようだが、そんな場所に棲む生物にひっついていると考えるのが自然だ。

同じように眼点の機能を生かしているが、光合成プランクトン捕獲者を狙って明るい場所を目指して泳いで集まってくる水母[→]とは逆で、暗くなった瞬間を見計らう能力を磨いている水母ということになろう。明るくなれば、静かになるのである。

【刺胞動物/Cnidaria
花虫/Anthozoa…ポリプ型(珊瑚, 磯巾着)

Jellyfish/Medusozoa
ヒドロ虫/Hydrozoa
┼┼【Leptolinae】
┼┼水母([無鞘]Anthomedusae(=Athecatae or Stylasterinae)
┼┼┼《有頭:ヒドラ(Hydra)Capitata》
┼┼┼-Polyorchidae
┼┼┼┼○Polyorchis・・・キタカミクラゲ類
┼┼┼┼┼北髪水母(karafutoensis)
┼┼┼┼○Spirocodon・・・カミクラゲ類
┼┼┼┼┼髪水母(saltator)

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