[→鋏角類目次] [→蜘蛛目次] "! ■■■ 2018年4月28日 ■■■ 腹節蜘蛛怖い顔 腹筋割れで 大人気 穴に隠れて 隠棲できず 体長1〜2.5cmの土中棲。 全く徘徊せず、夜間の待ち伏せ攻撃で獲物を仕留めるタイプ。穴中に食糧を引きづり込んでゆっくり賞味する体質なのだろう。 訓練されていないと、全く気付かないような棲家である。そうでなければとっくに喰いつくされて絶滅していた類の種だと思われる。 → [PHOTO by (CC)Akio Tanikawa]山原木村蜘蛛の巣の蓋 普通の蜘蛛とは違って腹に体節が見える上に、出糸疣の位置が末端から離れて腹の中央に存在している。当然ながら、出糸能力は低く、棲家である横堀穴の壁面強化用だが、穴蓋製作には欠かせない。もちろん、雌の場合は、卵の嚢として不可欠だと思うが。 石炭紀化石種とそっくりだから、生きた化石と呼ばれている。 誤解を与え易い言い回しである。そこで進化が止まってしまったかのような印象を与えるからだ。現実には、この仲間、たった1種が現存している訳ではない。なんと数種の糸を出せる種も存在するし、栞糸をつけて穴から出る種もある。これは、"より進化したタイプ"の特徴と同じ。しかし、穴棲にこだわるなら、そんな能力にたいした価値はないだけの話。変異を次々と発生させてきたが、大発展に結びつくチャンスがなかっただけで、結局のところ化石種に似たシンプルな穴棲種が"勝ち残った"と考えるべきだろう。 【参考】蜘蛛(有出糸突起)と見なされている代表的化石は以下らしい。 ◆Urarneida -n.a. ○Attercopus (fimbriunguis)@デボン紀[380Mya] ○Permarachne (novokshonovi)@ペルム紀 → "'Extraordinary' fossil sheds light on origins of spiders" By Helen Briggs BBC News 5 February 2018 →"Ancient fossil was 'nearly a spider'" By Jonathan Webb, BBC News 30 March 2016 現生種は。南はジャワ〜マレー半島〜インドシナ半島〜中国東部から、一番北方の日本では石垣島〜宮崎まで分布。当然ながら、島嶼毎に変種が生まれている。 熱帯が発祥地だとすれば、当時の大陸の端まではるばるやってきたことになる。沖縄が大陸の一部だった頃だ。その後、南方ではマレー圏、ベトナム圏、東中国圏辺りで分化が発生し、さらに、先島〜沖縄圏族と、沖縄〜九州圏族に2分と相成ったのであろう。その結果として、今もって沖縄で2族が克ち合いながら棲み分けているようだ。 穴棲であるから、幼体時に糸を垂らしてパラグライダー大冒険敢行で広がったと思いきや、この一族はそんな習慣が無いらしい。雄が雌を探して幾千里しようが、雌は穴掘棲息だから、棲息領域拡大スピードは遅々たるものだから、長い年月をかけて気長に棲息可能領域を埋め尽くしてきたのだろうか。 そんなこともあって、各地毎に細かな分化を引き起こしているようだ。徹底的に観察すれば、亜種や変種はいくらでもありそう。もっとも、素人が写真を見ただけでは、どの種もほとんど変わらなく見える。 (参照) 谷川明男:「日本産キムラグモ類の系統地理と分類 」生物科学66(2), 2015 鋏角類《蜘蛛 Araneae》 │ │┼┼中疣…出糸疣が腹の中ほどに存在 │┌──【古代風 Mesothelae】 ││┼┼◆Liphistiomorpha 腹節蜘蛛と木村蜘蛛を代表とする群 └┤ ┼│┌─【原始的 Orthognatha】…真っ直ぐの牙顎類 ┼││┼◆Mygalomorphae ┼││┼┼┼│┌─《Fornicephalae 戸立蜘蛛と地蜘蛛を代表とする群》 ┼││┼┼┼└┤ ┼││┼┼┼┼└─《Tuberculotae 漏斗蜘蛛とタランチュラを代表とする群》 ┼└┤後疣…出糸疣が腹の後端に存在 ┼┼│ ┼┼└─【新生型 Opisthothelae】…二軸鋏型牙類(Labidognatha) ┼┼┼┼◆Araneomorphae 【古代風蜘蛛類Mesothelae】 (中疣…唯一、出糸疣が腹の中ほどに存在) ◆Liphistiomorpha 腹部体節型 -Liphistiidae@東アジア【地中棲-崖地掘横穴-蓋扉付】 [3爪,8眼] ○Liphistius・・・ハラフシグモ類@東南アジア 腹節蜘蛛Segmented spider(desultor) ○Songthela (hangzhouensis)@浙江〜湖南 ○Heptathela・・・キムラグモ類@ベトナム〜中国〜沖縄〜九州(宮崎, 鹿児島) 木村蜘蛛Kimura spider(kimurai) 豊後木村蜘蛛(kikuyai) 肥後木村蜘蛛(higoensis) 屋久島木村蜘蛛(yakushimaensis) 奄美木村蜘蛛(nishihirai) 徳之島木村蜘蛛(kanenoi) 山原木村蜘蛛(yanbaruensis) 伊平屋木村蜘蛛(iheyana) ○Ryuthela・・・オキナワキムラグモ類@琉球列島 沖縄木村蜘蛛(nishihirai) 久米島木村蜘蛛(sasakii) 石垣木村蜘蛛(ishigakiensis) 「鋏角類」の目次へ>>> 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |